次世代へつなぐということ。大阪能楽養成会

こんにちは。

朝10時から夜の8時まで能楽漬けで幸せなわたくしです。

今日は、伝統芸能をつなぐということについて、ご紹介。


勤務先は能楽堂。人間国宝に名指しでド叱られる情けない事務員。

伝統芸能って、中に入ったら一層、先細る先細れば先細るとき、ってのがわかって、やばいやばいと思う日々です。

会計事務所に「零細産業」などと言われたり、します。

経営が無理ならいらんやん?淘汰されてほんまにやっていけるとこだけ続けてったらええやん?

ですが、遠い将来、そうなっても致し方ないとしても、数百年続いた伝統をうちらの世代で途絶えさせるわけにはいかん。その危機感たるや、悲壮感漂っております。

広く様々な方に能楽を鑑賞いただくこと、子供達に楽しみながら親しんでもらうこと、といった広報的なものではなく、今回は内部のお話。

人材が揃っている今こそ盛り上げないかん、伝えるべきものは伝え、若者たちが自身の研鑽に集中できる環境を作り、育てないかん!

そんな危機的な意識は、おじいちゃま世代、人間国宝クラスこそ非常に高いです。

では、具体的にどうしているか?

大阪の能楽界には、「大阪能楽養成会」というものがあり、諸条件はあるものの、能楽師の子弟ではない一般ぴーぽーにも門戸を開放しております。

シテ方、ワキ方、狂言方、囃子方、それぞれに募集しています。

その養成会研究発表会が、今月末、催されます。


番組(プログラム)です。

一番右の能「東北」は、喜多流。祖父・高林白牛口二(こうじ)、父・高林呻二、に囲まれシテをつとめるのは、(白牛口二先生の)孫・昌司先生です。

観世流の「東岸居士」の地頭(コーラスリーダー)は、人間国宝。

これは、敢えて若者達と共に謡うことで何かを伝えたい、という深謀遠慮があろうかと拝察します。

それぞれの後継者を見守る視線はあっちぃちぃー。
ご自分の舞台のときよりも、どたばたどたばた、あたふたあたふたされてます。

養成会の若者達は、TwitterなどのSNSを使ったり、いろいろ工夫して盛り上げようとしています。

遠くて来られない方々も多いかと存じますが、若者達が頑張ろうとしていること、そして、実際に頑張ってることを頭の隅っこにでも置いていただけたらこれ幸い。

そして、大阪市中央区上町、最寄り駅は谷町四丁目もしくは六丁目の大槻能楽堂、へ、行けるよー、っという方には是非ともご足労願いたく存じます。

6月28日木曜日、午後6時開演です。

無料です。あーら、びつくり。

新しい能楽堂、西宮能楽堂へ行ってきた

こんにちは。

お仕事が能楽堂なんですが、お休みのときは出来るだけあちこちの舞台へお邪魔して、いろんな先生の舞台を拝見するようにしております。

能ってのは、謡本と型付があって、定められた規範のなかでしかできないと思われがちですが、実はふれきしぼー。

シテ(主役)の考え方、捉え方で、いろんな演出が出来るんですよ。

で。

今日はお休みいただいたんで、西宮市鳴尾に昨年末に新しくできた西宮能楽堂へお邪魔しました。


駅からほどなく、こんなもだーんな建物がありまして。


設計を担当された方がデザイン履歴にきっと載せる斬新な能楽堂。

お屋根のてっぺんの窓から自然の光が入るようになってます。


中から見るとこんな感じ。


おめめに眩しい新品ぴーん!な舞台です。


建物in建物が、能楽堂。

かつては屋外にあった能舞台。

武家の式楽から芸能へと変遷する中で、雨天でも決行できるように屋内へ入れました。公演の確保のためですね。

んで、建物in建物の形が増えました。

手前が目付柱。この柱付近を「角(スミ)」といい、目印になる柱です。

面を付けることで果てしなく限られる視界のなかではこの柱ってとっても大事。


何を叫んでるかと言うと、この金具。


歌舞伎でも有名な「道成寺」の鐘を釣るための金具なんです。

数百キロある大きな鐘を釣り上げ、シテにかぽんっと被せる、いや、シテが鐘に飛び込む道成寺は、シテ方にとって卒業証書といわれるたいへん重要な演目です。


某所の鐘のスケルトン

でっかくて重たい鐘を釣ったり落としたりするんですから、古い舞台では、天井がもたない、あるいは、舞台が抜けちゃうかも?な心配があって、道成寺を公演できる能舞台は限られているそうです。

それはさておき、新しい能楽堂。


わざと白い壁にして、プロジェクターで詞章や参考図面を写し出すことができるよーになってます。

国立文楽劇場では、舞台の上に字幕スペースがあり、詞章を字幕にして写し出しており、初心者にはわかりやすいです。(慣れると、邪魔だなぁと思う人もいます)

文楽よりも言葉が古く、まるで古文の授業のような謡本なので、これ、いいなぁー、欲しいなぁ~と思った次第。

初心者の方にわかりやすいようにと詞章をプリントすると、そっちに気をとられ舞台を見ていただけない矛盾があります。

演じる先生方には、間違えたら即座にわかっちゃうわ、いやぁん、な葛藤があるそうですが、それはそれ、これはこれ。

どうしたら初心者でも楽しめるのかなぁー?と、オペラや歌舞伎、文楽等で導入されてるのが、イヤホンガイド。



舞台の解説をしてくれるありがたいサービスですが、能の場合は数週間にかけて上演される前述の公演と異なり、たった一度限りの上演なんです。

そう、まさに「一期一会」。

イヤホンガイドでは通常、録音したものを繰り返し使用しますが、能ではそれができず、というか、一回限りなんで録音せずに生放送。

つまり、


よろしゅうおあがり~!

・・・ちゃうわー。

金食い虫。設備として既設でないと、コスト高でたいへん。

なので、文字を映し出すっていいなぁーと、思いました。

で、今日の演目は。


杜若でした。

藤原家の宝物の二条后をさらってカケオチしようとした業平が、事件発覚により咎められ、都から旅に出た(「伊勢物語」の東下り)道中、三河知立の八橋でのお話。


きつはた つつなれにし ましあらば るばるきぬる びをしぞおもふ

か、き、つ、は、た。

です。

このような言葉遊びの入ったものを「折句」「折句和歌」といいます。

で、「杜若」の主役は、杜若の精。

なんで杜若と業平が絡むのかというと。

業平は平安時代に既に「歌舞の菩薩」と称えられており、その功徳により杜若の精が成仏したというのが能「杜若」のお話。

シテのご当主は普段からとても朗らかで優しくて、大好きな先生なんです。お目目、ハートで拝見しました。うふふ。

とてもきれいなお姿で素晴らしかったです。また拝見したいです。


帰る間際にやっと気付きましたが、通常は松だけの鏡板が松竹梅になってました。

談山神社のこまちゃんたち



あっ…。

2ヶ月半ぶりのこんにちは。皆様、お元気ですか?

私はおかげさまで、人間国宝から叱られるという荒業を成し遂げ、はははーな日々です。

今日はひさしぶりに遠出をしました。といっても片道100km未満の近いとこ。


談山神社です。

神社なのに、


十三重塔あり。

そう、談山神社は明治の神仏分離まで永楽寺というお寺でした。

お寺を廃する時代のなかでここが選択したのは神社として生き延びる道。


談峰大権現の社額。

神仏習合の名前なので、明治に撤去されたもの。

談山(たんざん)の名の由来は、中臣鎌足と中大兄皇子が、大化元年(645)5月、大化の改新の談合をこの多武峰にて行い、後に「談い山(かたらいやま)」「談所ヶ森」と呼んだことによるとされ(wikipediaより)、祭神は鎌足。


ひそひそひそ。

白の幕内に、鎌足@ご神像。

ちなみに道中、石舞台古墳や岡寺、橘寺などを通ります。

今日の訪問目的はこちら。


番組は、能「景清」、仕舞「自然居士」「松風」

能「景清」
シテ・梅若実、ワキ・福王茂十郎、小鼓・大倉源次郎、笛・藤田六郎兵衛、地頭・大槻文藏 他

旧常行堂(現・権堂)内で、神事として奉納された舞台でしたが、そらもう、人間国宝てんこもりー!!名手勢ぞろいー!!で、素晴らしかったです。


談山神社(奈良県桜井市)付近は、能楽を大成した観阿弥・世阿弥の本拠地に近く、特に、権堂(旧・常行堂)裏側の隠し2階には「摩多羅神面」(翁に似た神面)が納められており、2012年に26世観世宗家観世清和による多武峰式「翁」が奉納されてます。

昔々の永楽寺には三千あまりの僧兵がおり、山のなかで退屈なので様々な芸能を境内で楽しんでたんだろうとは、宮司さん談。

なんで僧兵がわんさかいたのかというと、永楽寺(天台宗)は興福寺との領地境界線争いが絶えず。


しばしば焼き討ちにあっていたので


備えあれば憂いなし。

この愉快な二人は、伝・運慶作。鎌倉時代生まれ。


美しい社殿も、舞台も、満足まんぞく。

でしたが、


やはりこまちゃん達がいちばん♪
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Author:つねまる
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古典芸能の能楽の、謡と仕舞のお稽古ぐだぐだ日記も。

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