磐境神明神社。不思議な石造の異形の社

白人神社のうさぴょん灯籠。のほほん。

さて。白人神社を後にして。
向かうのはこちらのお山。

白人神社から100m程の明神山。
ここに白人神社の境内社が鎮座しているそうなので、てくてく。

木々が倒れ山が崩れ鳥居が倒壊した恐怖に泣く狛犬さん。
私は石段の高さと傾斜に泣く。

心臓がお口から飛び出しそうです。

清々しいけど、さっきまでと変わった空気に、心臓がひっこむ。
ちょっと落ち着こう、私。

「『白人大明神由来書』(1779年)によると、白人神社より約1町(109m)上の段の明神山という古社床といわれる所で、寛保年間(1741~1743)に芝刈の際に以下の石垣が発見されたという。
記された内容は、長さ八間余(約15m)横幅四間余(約7.5m)、東南方向に入口2ヵ所、内側は長さ六間(約11m)幅約一間(1.8m)とあり、現状とは異なる。」
(美馬市「市指定文化財/神明神社」より引用)
http://www.city.mima.lg.jp/kankou/bunka/shishitei1/0011.html
現地説明板によれば、この『白人大明神由来書』(1779年)が文献での初見。

開口部の数、違うね。
現状は、南北約7m、東西約22mの石垣による長方形の囲状(現地説明板より)。
往時より細長くなったのかな?

露出しているのは、一面のみ。

盛り土によって、石積は埋もれています。なんでかな?
「昭和30年頃、財宝(源為朝)を捜索して大規模に掘削。特に東方では約15mほど掘り下げたといわれ、これにより崩壊寸前になったため、昭和57年一部修復している。」
(美馬市「市指定文化財/神明神社」より引用)
http://www.city.mima.lg.jp/kankou/bunka/shishitei1/0011.html
・・・ためとも?
あー。白人神社の伝承にありましたね。
為朝の放った矢が毘沙門山に当たって跳ね返り、白人神社へ落ちたと。
では、露出している東側から拝見してみましょー。

びびって、離れる。
りべんじ。

開口部の上には、一枚岩が渡されています。
徳島らしい緑色の石。

上から見ると、こう。

素敵な石積です。(矢印が一枚岩。薄いです)

内部には祠。(北東から南東方向)

祠の上部左右を一枚岩が囲み、壁面を支えるように基段の石組がされています。
「社地は石堤をもってこれを囲み東西十二間南北四間にわたり方形をなせり、石堤は磐境なるべしすこぶる古色を帯部なり」(『阿波名勝案内』)
「白人神社の奥社と言われ、頂上付近の石堤は古代の磐境とされる。」
(徳島県立図書館/郷土研究発表会紀要第45号「白人神社祭礼について」より)
http://www.library.tokushima-ec.ed.jp/digital/webkiyou/45/4528.html
磐境(いわさか)とは、神の依り代。

南東から北西方向。
「築造年代の詳細は不明だが、石積技法や「『白人大明神由来書』」の記述から、少なくとも現在の姿については近世以降のものである。
成立年代は比較的新しいが、神社遺構として他に類例がなく、貴重な資料である。」
(美馬市「市指定文化財/神明神社」より引用)
美馬市の説明は客観的で好感が持てますね。

祠は五座。
何とも不思議なものですが、
イスラエル国元駐日大使エリ・エリアフ・コーヘンが招かれてこの地を訪れた際に「自然の石を積み上げた祭壇は、ユダヤ教の神殿とこの神社以外では見られない」などと言ったそうで。
・・・日以両国友好のためのリップサービスでしょうか。
この辺りの方言とイスラエル語の共通点や、祭事の日程が同じとか、ちょっと検索すると、しゅばばばーっとヒットします。
・・・学術的に解明される日を待ちましょう。

静かに、おまいり。

ここは、このまま、そーっとしておきたいな。

そーっと、静かなままで。
静かな、静かな、しず

こらー。
白人神社と神明神社、おしまい。
白人神社
《住所》徳島県美馬市穴吹町口山字宮内2番地
神明神社は白人神社の南西100mほど。
いつも応援いただきありがとうございます。
神明神社の不思議な感じ、伝わりましたでしょうか?私が白人神社界隈を素敵だなーと思うのは、元大使のほにゃ発言やパワーほにゃブームに踊ることなく、静観している点。美馬市の客観的な解説も同じ。日本には日本の神様と信仰があるのですから。古来からの伝統を保持していくことはとても難しい事だと拝察しますが、境内を清々しく保ち、祭礼を伝えていく宮人さん達に頭が下がります。



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