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変わりゆく一言主神の容貌。葛城一言主神社

こんにちは。


葛城山の東側山麓に鎮座する


葛城一言主神社。


社殿は明治の建築なので、どうでもよろしい、新しい。

【祭神】葛城一言主大神・幼武尊(第21代雄略天皇)


一言主神の伝承は時代ごとに変遷します。ポイントは、


失礼ながら、容貌。


【一言主神と雄略天皇】

ある日。雄略天皇が葛城山で狩りをしていると。


天皇と同じ姿で現れた誰か。

「誰?」

「吾は悪事(まがごと)も一言、善事(よごと)も一言、言離(ことさか)の神、葛城の一言主の大神なり」


《古事記・日本書紀》

「面貌容儀(かほすがた)、天皇に相似」の「長人(たけたかきひと)」(『日本書紀』雄略4年条)という、王者の風格をもつ男神が顕れます。

雄略天皇はひれ伏し、大御刀・弓矢・百官共の衣服を奉献。(『古事記』雄略天皇段)
共に狩を楽しみ、一言主神は久米川(現曽我川)まで天皇を送ります。


《一言主神社由緒》
「この大神が顕現された『神降(かみたち)』と伝える地に、一言主大神と幼武尊(雄略天皇)をお祀りするのが当神社であります。」


《『続日本書紀』》

雄略天皇と狩の事で争い、一言主神は四国の土佐に流されますが、
後に許され葛城の高宮付近に祀られました。


【一言主神と役小角】

葛城の土着の神ともいえる一言主神と同じく、葛城を拠点とした者に、役小角(役行者)がいます。

役小角は、一言主神と鬼神に命じ、葛城山と吉野の金峰山との間に石橋の建築計画を設計・起工。


難所が多いからねー。ってか、神様さえ使うんだ、役小角。


《『日本霊異記』(上)二十八》

橋の建設に不満を持った一言主神が役行者に謀反の罪を着せ、朝廷により役小角は逮捕・伊豆へ流罪。
但し、一言主神の姿形については、特になし。


《『今昔物語集』巻第十一・第三》

役小角の目指す橋の工事が遅延。調べてみると


一言主神、昼間は働きません。

これは、一言主神が自分の容貌が醜いのを恥じ、夜のみ働いていたのでした。

怒った役小角。


一言主神を呪縛。谷底へ、放置。

橋の工事は、中断したのでした。


【葛城と一言主神、まとめ?】

葛城の土着の神である一言主神は、記紀の頃は雄略天皇と同じ容貌の雄々しい男神として顕れ、祀られます。

それが時代を経ると、昼間は自ら隠れるほど醜い容貌の神へ変遷します。

古くは大和と葛城の立場の逆転も背景にあることでしょう。



「一言主神といえば、容貌が醜い」という話の初出は平安時代(『三宝絵』など)。

役小角の説話に描かれた、橋の中断の原因である「一言主神の容貌」。
これを知っている前提として初めて生きるのが、「葛城」という言葉。

歌枕となり、数々の和歌に詠まれ、やがて謡曲や俳諧へと広がっていくのです。


次回、謡曲「葛城」。

一言主神、とうとう女神になります。



参考文献

『奈良県史 5 「神社」』( 名著出版)

『日本の神々・神社と聖地4大和』 (谷川健一・編/白水社)

葛城一言主神社案内パンフレット「いちごんさん」

観世流大成版『葛城』(訂正著作/24世観世左近、檜書店発行)


いつも応援いただきありがとうございます。葛城一言主神社と一言主神を初めに知ったのは、謡曲「葛城」。で、葛城の神様のいる場所ってどんなとこー?っと探検。自らの姿を恥じるほど醜い、というのは後付けで、本来は雄々しい姿の神様として、葛城の地で誇りをもってお祀りしていたのだろうと思います。お気の毒なのは、一言主神。ブラック雇用主役小角に使われ、あげくに放置なんて、あんまりだー。
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No title

一言主と役行者といえば、祇園祭の「役行者山」の会所を見に行ったとき、
二人仲良く、倉の中で並んでたっけ。
http://nekotamasi.blog.fc2.com/blog-entry-1039.html
↑こんな感じで。

たぶん、山鉾巡行の時は、山に乗って行かれるんだろうけれど、
それは見てないの。
有料観覧席とったけど、暑すぎて途中でリタイヤしちゃった(;^ω^)

No title

葛城や我やは久米の橋作り 明けゆくほどは者をこそ思へ(よみ人しらず:拾遺719戀哥貮)


拾遺集ですから寛弘三年(一〇〇六)頃にはすでに役小角の話が一般的になつてゐたのだと思はれます。明け行くと言ふので、容貌が醜いと言ふ風になつてゐますね。

岩橋の夜の契りも絶えぬべし 明くるわびしき葛木の神(春宮女藏人左近:拾遺1201雜賀哥)

これも容貌が詠まれてゐますね。

葛城や久米路に渡す岩橋の 絶えにし中となりやはてなむ(能宣朝臣:新古今1406戀哥伍)

こちらは歌の大御所、大中臣能宣ですね。
不思議ですよね、初めは霊験あらたかな大神であつたのに、後の世には役小角に使はれるやうになるのは。やはり背後には勢力図が変はつたと云ふ事なのでせうかね。

猫舌=・ω・=様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

きゃー。ありがとうございます(*^^*)
祇園祭は、行きたいなーと思いつつあまりの暑さに足が進まず。

京都テレビで失礼してます。おほほほ。

会所の画像、すごいですね。まさに芸術品。
山鉾巡行もこちらの方も拝見したいです。

多分、隅っこにもう一人いるかと思うんですが、それが後記事の能の葛城の神様の姿で。

有料観覧席、って、なかなかとれないんじゃ?
でも、倒れる前でよかったですね。

前の週まで涼しくても、どうして天神祭と祇園祭の時にはちゃんと猛暑になるのかなー。

来年こそは、って、もうやめとこ。
十三で乗り換えずに梅田で飲んで帰りそうですもの。

橘右近大夫様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

皆様に支えられて成り立つ弊ブログでございます。
まさに探してへこたれた歌、です。

役小角説話、平安時代には一般的だったのでしょうね。
何でも知ってないと「歌」ってわからないので、厄介なのですわ。

葛城の神を貶める意図があったのかと問うならば、やはり、あった、のでしょうね。神話の中の勢力交代に結びつけて。
しかしそれが反対に様々な歌などの背景として深みを増すのは、とても面白いです。

>岩橋の夜の契りも絶えぬべし 明くるわびしき葛木の神(春宮女藏人左近:拾遺1201雜賀哥)

↑これですこれです。

石橋と勘違いしてました。
ストレートな感じがしますが、説話を知らないと、何のこっちゃ?な歌。

>葛城や久米路に渡す岩橋の 絶えにし中となりやはてなむ(能宣朝臣:新古今1406戀哥伍)

そうだー。橋は出来なかったのだー。
葛城、と言われたら即座に、役小角があーして一言主神があーなって、と思い描いて、反省するのか鼻で笑うのか。

難しいなー。

貴重なお話を、ありがとうございました。
またよろしくお願い致します(*^^*)ウフフ

No title

こんばんは。

役小角、一言主神より偉いんだ、と私も驚きました。
一言主神、神様としか知らなかったので、ここで勉強勉強。

ブラック雇用主役小角(笑)
自分基準で、神様にもものすごく厳しく命令しそうだから、いかにも!って感じですね。

万見仙千代様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

ですねー。役小角は、偉かったんですねぇ。
えへへ。ブラック雇用主ですよー。

鬼神はもちろん、謡曲では、不動明王まで使い、不動明王の索(さく)で一言主神を縛り付けます。

恋をしたり、力比べをしたり、いろいろなお顔を見せてくれる八百万の神々ですが、葛城の一言主神は言葉数が何たって「ひとこと」ですから、抗弁しても伝わらなかったのかも。

神様から仏様へ移行する姿を映しているような、妙に強い役小角。
自分に厳しく、他人にはもっと厳しく。
こわいこわい。

No title

役小角・・・鬼も天狗もパシリだったような・・・
(漫画や小説の設定とゴチャマゼかも^^;)

このままでは役小角がパワハラ・モラハラのブラック社長になってしまう^^;
どこかで一言主神たんに御褒美の頑張ったで賞がないものでしょうか^^

チビクマちゃんモザイクが何だか受けた^^
ぽちぽちぽちーーー☆

時乃★栞様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

いや、私も役小角のイメージは、漫画スタートなんで。
長岡良子さんの役小角が、まー、渋くてねー。

後々の山岳信仰のキーパーソンですから、神に負けたらあかん。
ブラック社長じゃないと、神は堕ちない。
特にここは、葛城ですから。

一言主神たん、頑張ったで賞は今も人気のお社だよ、ってことかなー。
社頭の直売所のおじいちゃんもいい味醸し出してますし。

何より地元の方々が多くお詣りされていて、ほっこり。
私の車を見て「まぁ、大阪から?」っと笑顔でご挨拶して下さいまして。

いや、そこの峠を越えたら大阪やん、なのですが。
気持ちが嬉しいですね。

ちびくまモザイクに気づいて下さりありがとうございます(*^^*)
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