平維盛、神になる。色川神社と神社合祀

総大将となった富士川の戦いでは、源氏の軍勢に怯え

平家一門の中で唯一家族を都に残して都落ち。

世俗の姿だ今一度家族に会いたいと切望しつつ、出家し

補陀落渡海の道中、太刀を落としてしまう愛すべき維盛。
ニュースです。
維盛、神になりました。

口色川から

川を下り

太田川として合流するこの辺りは

鮎の住む清流。

ぽちょん。

色川神社。

県道脇に、社頭。

とりあえず県道から石段を下りると、ただならぬ気配。

我が身ながら小汚ないので、

川岸へ。

樹皮は剥いてある木の鳥居。
鳥居をくぐって、割拝殿。

いざ、本殿へ。

色川神社・本殿。
『紀伊續風土記』
「深瀬明神森」
境内森 東西70間、南北25間
村の南禅宗11町余り、溪水の合流する所にある。
挺立している巌壁を祀って社はない。
ここは険しい山が両方から迫って切通しのようである。
巌壁はその高さ14.5丈ばかり。はなはだ雄偉である。

色川郷中の産土神で京師深草明神を勧請したと言い伝える。
考えるに深草明神を祀るということは覚束ない。
深瀬はすなわち色川の深瀬で川の神を祭っているのであろう。
色川の名もここから起こっていることも思うべし。

宝暦9(1759)年10月の『牟婁郡神社号覚書上』によれば、
色川7ヶ村の惣氏神でした。
もとは深瀬明神あるいは深草神社といい、
京都深草より勧請されたとも伝えられますが、創祀年代は明らかではありません。

この深瀬の岩壁は、社殿のある今も拝礼が真っ先に行われ、
祭礼日には川辺に賽銭箱が設けられます。
大正3年に神社合祀のために社殿が建てられるまでは、
無社殿神社でした。

よって、社殿が建てられた今、参詣が変なことに。
和歌山県神社庁HPによれば、
明治43年12月23日許可をうけ大正3年4月18日、村内15社の神社を合祀し、大正3年11月4日許可を得て、今の名に改めた。
合祀した神社は、次の15社である。
大字高野鎮座 村社 地主神社。
大字直柱鎮座 無格社 地主荒神神社。
大字大野鎮座 無格社 金毘羅神社および境内神社維盛神社。
大字大野鎮座 無格社 大神社および境内神社稲荷神社。
大字大野鎮座 無格社 剣神社。
大字大野鎮座 無格社 風ノ宮神社。
大字大野鎮座 無格社 大塔神社。
大字田垣内鎮座 無格社 水本神社。
大字田垣内鎮座 無格社 地主神社。
大字田垣内鎮座 無格社 大神社。
大字坂足鎮座 無格社 星帝神社。
大字樫原鎮座 無格社 王子神社。
大字熊瀬川鎮座 村社 藤本神社。

維盛は那智勝浦の海から入水したのではなく、この郷に隠れ住んだという伝承の残る口色川から程近く。

川のせせらぎだけが聞こえるここ、大野の地で。
維盛は、維盛大明神として祀られておりました。
が。

神社合祀により、シェアハウスで暮らしております。

往古からのご神体は、こちらなんですけど。

・・・維盛って・・・(T_T)
色川神社、つづく。
参考資料
和歌山県神社庁・色川神社
http://www.wakayama-jinjacho.or.jp/jdb/sys/user/GetWjtTbl.php?JinjyaNo=8018
熊野・難陀龍王の滝(垣内高彦/文芸社)
https://books.google.co.jp/books?id=zboSo7WGSCsC&pg=PA161&lpg=PA161&dq=維盛神社+那智勝浦&source=bl&ots=tr_Ms00oPM&sig=AfZaLaG6VWQRigFOUNCVHgPnGsc&hl=ja&sa=X&ved=0CDQQ6AEwCWoVChMIx7q667_gyAIVw9imCh1LpgAT#v=onepage&q=%E7%B6%AD%E7%9B%9B%E7%A5%9E%E7%A4%BE%20%E9%82%A3%E6%99%BA%E5%8B%9D%E6%B5%A6&f=false
いつも応援いただきありがとうございます。熊野の特徴に、那智の滝のように、古くからの自然信仰の姿が残る点があげられます。色川神社は、対岸の岩山をご神体とする信仰形態に、近世になり、神社合祀のための社殿が建てられ、近隣の神社を合祀するという熊野におけるお社の典型でした。維盛、大明神となってもやはり微妙に運がないというか。ぎゅーぎゅー。



ぽちぽちぽち、ありがとうございます。
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