元・日光院。現・名草神社の本殿。危機的状況
こんにちは。
但馬妙見日光院【第10回】

出雲大社からやって来た三重塔。
1527(大永7)年。尼子経久が杵築大社に建立。
寛文の大造営で撤去されるところを御用材と交換に、出雲杵築大社から帝釈寺日光院に移建されたもの。
昭和59年。積雪により屋根が落下。
三重(最上階)の屋根に降り積もった約4mの雪が二重屋根に落ち、その衝撃で二重屋根が大破して一重屋根に落下し、一重屋根の垂木も折損して落ちるなどの大きな被害。
昭和62年大修理が竣工。
養父市の所在する但馬は指折りの豪雪地域であり、この元・日光院(現・名草神社)は妙見山(標高1135m)の八合目、標高800mに位置しています。
しかし、4mの積雪って・・・。

訪問日は5月2日。

山を下りればこの気温でした。さすがに溶けたと思うの。

旧・日光院の護摩堂。現・名草神社拝殿。
1689(元禄2)年、竣工(棟札による)。
割拝殿(建物の間に通路がある)の形式を採り、正面は懸造、屋根は入母屋造・柿葺。桁行5間、梁間2間。椽を四周に廻らせた構造。

真ん中の通路部分の天井。

視線を下に移すと、本堂(現・本殿)。1754(宝歴4)年竣工。
平成22年、本殿と拝殿が国指定重要文化財となりました。
ところが。

向拝部の右側及び屋根の棟が破損。
「平成24年4月、3メートル超の大雪によって、本殿と拝殿の屋根の一部が雪の重みが原因で折れる被害が発生し、また建築してから250年以上が経過しているので、基礎が沈んで建物の土台が破損しています。」(『東京養父市会』Facebookより引用)
「平成24年豪雪」。
北海道・東北・北陸・近畿地方日本海側を中心に記録的な豪雪となった年です。

棟から雨水が侵入・向拝も腐朽が進行。
立入禁止にしなくていいのかと思うほど、建物の構造材の毀損がひどいです。
悶々としつつ、検索。

「東京養父市会Facebook」に現況と修復工事の概要の記載があります。
以下転載。
「こうしたことから、地元である小佐地区自治協議会の発起により平成25年2月9日、名草神社災害復旧工事奉賛会を組織し、養父市を代表する歴史文化遺産であり、但馬の観光シンボルでもある名草神社の本殿、拝殿の修復に取り組むことになりました。
この国指定重要文化財名草神社の災害復旧工事は、「平成の大修理」として、国(文化庁)、兵庫県、養父市からの財政支援を受けて実施する予定ですが、なお多額の地元負担金が必要となるため、養父市民、養父市内外の企業や団体等、多くの方々に奉賛金による支援を依頼するものです。
名草神社災害復旧工事事業概要、及び奉賛金募集内容は次のとおりですので、新聞等への記載をよろしくお願いいたします。
1.国指定重要文化財名草神社災害復旧工事内容
国指定重要文化財名草神社 本殿、拝殿災害復旧工事
① 本殿、拝殿 屋根などの全面修理
② 本殿、拝殿 基礎などの全面修理
2.奉賛目標総額 3,000万円
※総事業費 6億円
3.工事計画
仮養生 平成24年12月
工事期間 平成26年6月着手~平成30年春完成(予定)
4.協賛募金期間
第1期 平成25年3月~平成27年12月
第2期 平成28年1月~平成30年3月」
以上引用終わり。
「東京養父市会Facebook」https://m.facebook.com/YabuLoveTokyo/posts/366661083465210
Facebookでは、以下、協賛金の振込方法等の記事が続いています。
予定を見ると既に着手している日程なのですが、現況は各画像の如し。
平成20年、本殿などの調査を行い「名草神社建造物調査報告書」が刊行されていますが、この調査は本殿・拝殿などについて、建築史上どのような評価をすべきなのかを主眼に養父市教育委員会の依頼に基づいて行われたそうなので、工事の事前調査は建築の専門家によって別途必要。
はやくーはやくー。

所在自治体も観光協会も、うすらぼんやりとした紹介記事を掲載するのではなく、危機的状況下にある事を素直に述べるべきだと思います。

倒壊する前に。
いつも応援いただきありがとうございます。建物が傷んでいるとは知っていたものの、実際に現地に立つと本当に立入禁止にしなくていいのかと不安になりました。まぁ、工事を行うことは決定している様子なので、まだマシかなー。何を為すにも先立つものがなくては先に進まず。。。反対に、先立つものがあればなんとでもなる、のだなぁ。



ぽちぽちぽっち、ありがとうございます。
但馬妙見日光院【第10回】

出雲大社からやって来た三重塔。
1527(大永7)年。尼子経久が杵築大社に建立。
寛文の大造営で撤去されるところを御用材と交換に、出雲杵築大社から帝釈寺日光院に移建されたもの。
昭和59年。積雪により屋根が落下。
三重(最上階)の屋根に降り積もった約4mの雪が二重屋根に落ち、その衝撃で二重屋根が大破して一重屋根に落下し、一重屋根の垂木も折損して落ちるなどの大きな被害。
昭和62年大修理が竣工。
養父市の所在する但馬は指折りの豪雪地域であり、この元・日光院(現・名草神社)は妙見山(標高1135m)の八合目、標高800mに位置しています。
しかし、4mの積雪って・・・。

訪問日は5月2日。

山を下りればこの気温でした。さすがに溶けたと思うの。

旧・日光院の護摩堂。現・名草神社拝殿。
1689(元禄2)年、竣工(棟札による)。
割拝殿(建物の間に通路がある)の形式を採り、正面は懸造、屋根は入母屋造・柿葺。桁行5間、梁間2間。椽を四周に廻らせた構造。

真ん中の通路部分の天井。

視線を下に移すと、本堂(現・本殿)。1754(宝歴4)年竣工。
平成22年、本殿と拝殿が国指定重要文化財となりました。
ところが。

向拝部の右側及び屋根の棟が破損。
「平成24年4月、3メートル超の大雪によって、本殿と拝殿の屋根の一部が雪の重みが原因で折れる被害が発生し、また建築してから250年以上が経過しているので、基礎が沈んで建物の土台が破損しています。」(『東京養父市会』Facebookより引用)
「平成24年豪雪」。
北海道・東北・北陸・近畿地方日本海側を中心に記録的な豪雪となった年です。

棟から雨水が侵入・向拝も腐朽が進行。
立入禁止にしなくていいのかと思うほど、建物の構造材の毀損がひどいです。
悶々としつつ、検索。

「東京養父市会Facebook」に現況と修復工事の概要の記載があります。
以下転載。
「こうしたことから、地元である小佐地区自治協議会の発起により平成25年2月9日、名草神社災害復旧工事奉賛会を組織し、養父市を代表する歴史文化遺産であり、但馬の観光シンボルでもある名草神社の本殿、拝殿の修復に取り組むことになりました。
この国指定重要文化財名草神社の災害復旧工事は、「平成の大修理」として、国(文化庁)、兵庫県、養父市からの財政支援を受けて実施する予定ですが、なお多額の地元負担金が必要となるため、養父市民、養父市内外の企業や団体等、多くの方々に奉賛金による支援を依頼するものです。
名草神社災害復旧工事事業概要、及び奉賛金募集内容は次のとおりですので、新聞等への記載をよろしくお願いいたします。
1.国指定重要文化財名草神社災害復旧工事内容
国指定重要文化財名草神社 本殿、拝殿災害復旧工事
① 本殿、拝殿 屋根などの全面修理
② 本殿、拝殿 基礎などの全面修理
2.奉賛目標総額 3,000万円
※総事業費 6億円
3.工事計画
仮養生 平成24年12月
工事期間 平成26年6月着手~平成30年春完成(予定)
4.協賛募金期間
第1期 平成25年3月~平成27年12月
第2期 平成28年1月~平成30年3月」
以上引用終わり。
「東京養父市会Facebook」https://m.facebook.com/YabuLoveTokyo/posts/366661083465210
Facebookでは、以下、協賛金の振込方法等の記事が続いています。
予定を見ると既に着手している日程なのですが、現況は各画像の如し。
平成20年、本殿などの調査を行い「名草神社建造物調査報告書」が刊行されていますが、この調査は本殿・拝殿などについて、建築史上どのような評価をすべきなのかを主眼に養父市教育委員会の依頼に基づいて行われたそうなので、工事の事前調査は建築の専門家によって別途必要。
はやくーはやくー。

所在自治体も観光協会も、うすらぼんやりとした紹介記事を掲載するのではなく、危機的状況下にある事を素直に述べるべきだと思います。

倒壊する前に。
いつも応援いただきありがとうございます。建物が傷んでいるとは知っていたものの、実際に現地に立つと本当に立入禁止にしなくていいのかと不安になりました。まぁ、工事を行うことは決定している様子なので、まだマシかなー。何を為すにも先立つものがなくては先に進まず。。。反対に、先立つものがあればなんとでもなる、のだなぁ。



ぽちぽちぽっち、ありがとうございます。
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