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社格制度。平安時代から現代までの変遷

こんにちは。

但馬妙見日光院【番外編】

お社巡りをしていると、「式内社」「名神大」「郷社」等の「社格」を目にする機会が多いのは周知の通り。

本日はそのお話。

社格制度は平安時代の「延喜式」で確立されて以降、様々な変遷を経て昭和に入ってからも存在・機能しておりました。

現在の神社界では、昭和20年の終戦後に廃止されたので社格制度はありません。基本的に「じんじゃ、みな、びょーどー」なのです。

しかし、お社の由緒を述べるに当り、かつての社格を基にその歴史を推し量る事は不可欠で、無視するわけにもいきません。
お社の由緒書にも「当社は式内社だよ」とか「○○年に官幣大社になったよ」と書いてあり、一種のステイタス。



【式内社と式外社】(平安時代)


(画像:丹波市の伊尼神社)

「延喜式」の選定当時当時から存在していた神社は「式内社」「式外社」に振り分けられました。


『式内社』(しきないしゃ)
「延喜式」の神名帳(官社を記載登録した名簿)にその名が記載されている神社。2861社。
特に由緒のある神社とされ、毎年の祈年祭に幣帛が供えられ、災害や全国的な疫病蔓延などに際しては公の祈願が行われました。


『式外社』(しきげしゃ)
延喜式撰修前後に「存在しながら」神名帳にその名が記載されていない神社(記載に漏れた神社)。
石清水八幡宮、大原野神社、香椎宮、八坂神社、北野天満宮などの有力な神社でもこちらに含まれます。


「延喜式」とは

905年(延喜5年)。醍醐天皇の命により藤原時平・藤原忠平等が編纂に当たった格式(律令の施行細則)。全50巻。

927年(延長5年)に完成、967年(康保4年)より施行。

巻8に祝詞を掲載。巻9・10は神名帳(神社の一覧表)となっていて、祈年祭で奉幣を受ける2861社の神社が記載される。


延喜式撰修前後に「存在していた」神社。ここ、ポイント。


藤原時平イメージ。

藤原時平・忠平兄弟が編纂に当たったので、中臣氏(※藤原氏)と共に宮中祭祀を掌ってきた忌部氏の裔・忌部広成が「官社は中臣氏が欲しいままに選定した」(『古語拾遺』)と、愚痴っています。


式内社は、官社制の形骸化と共に中世には実態が失われました。

しかし、名称自体は、千年以上の歴史と伝統を持つ古い神社であることを示す社格の一種として残ります。


【延喜式の官国幣社】(平安時代)


この「官幣社・国幣社」は、式内社をさらに四等分した制度。

式内社は全て、陰暦2月の祈年祭において幣帛(延喜式では布帛、衣服、武具、神酒、神饌など)を受けます。

その幣帛の出所により分類。

一。「官幣社」
神祇官(国家)から幣帛を受ける。さらに「大社」と「小社」に分類。

二。「国幣社」
当該神社の鎮座する国の国司から幣帛を受ける。さらに「大社」と「小社」に分類。

よって、式内社は全て、官幣大社、官幣小社、国幣大社、国幣小社の4種のいずれかに分類されます。

大小の区分けは、祈年祭の際に幣帛を案(物を載せる台)の上に置く場合は「大社」、下に置く場合は「小社」。

区分け根拠はその神社の社勢。

「近代の社格制度」(明治時代成立)にも、「官幣大社、官幣小社、国幣大社、国幣小社」という同名の社格が登場しますが、延喜式における官国幣社と、明治期に制定された官国幣社は全く別のものです。

一般に「官幣○社」、「国幣○社」という場合は、実際には明治に制定された官国幣社の社格を指すことが多く、式内社は、特に分類はせずに単に「式内社」とのみいわれることが多いです。


【名神大社】(平安時代)


(画像:摩気神社の社頭標)

「式内社」のうち、特に「霊験の著しい神とされた名神」を祀る神社。224社。


【三社】(平安時代)

伊勢の神宮、石清水八幡宮、賀茂明神。

この三社は朝廷から特に尊く尊崇され、特別な奉幣使が遣わされました。

「伊勢の神宮」は皇祖の神宮。
「石清水八幡宮」は朝廷において大祖、宗廟の扱いを受ける。
「賀茂神社(上賀茂神社と下鴨神社)」は皇女や皇女孫が斎院として奉仕した神社。


【十六社】(平安時代)


(画像:京都の大原野神社。官幣中社は明治の社格)

「二十二社」の前身。

朝廷奉幣のために10世紀初頭に定められた朝廷からの格別の崇敬を受けた神社。

伊勢、石清水、賀茂(上下)、松尾、平野、稲荷、春日、大原野、石上、大和、大神、廣瀬、龍田、住吉、丹生、貴布禰。


【二十二社】(平安時代)


(画像:京都の大原野神社)

「二十二社」は、朝廷奉幣のために11世紀初頭に定められたもの。

祈雨・祈晴や国家的大事に際しては特別に奉幣の対象になり、「二十二社」という名で特別な社格の神社として、他の神社よりも優越の地位を占めました。

上七社(伊勢、石清水、賀茂、松尾、平野、稲荷、春日)
中七社(大原野、大神、石上、大和、廣瀬、龍田、住吉)
下八社(日吉、梅宮、吉田、廣田、八坂、北野、丹生、貴布禰)

二十二社奉幣の慣例は平安時代以降も長く続き、応仁の乱により廃絶。

明治以降は、何れの神社も官幣大社もしくは官幣中社に列格されました。


【一の宮】(平安時代中期以降)


(画像:徳島県の一宮神社)

諸国の国内で第一の地位を占めた神社。

以下「二の宮」「三の宮」。

国司の参拝順序による説、又は国内で自然発生した序列を国司が追認した説があります。

よって、当時、国司の存在しなかった北海道・沖縄には一宮はありません。


【近代の官国幣社】(明治時代から終戦まで)

「官社以下定額・神官職制等規則」(太政官布告・明治4年5月公布)

新たに社格制度が定められます。


(画像:淡路島の伊弉諾神宮の旧社格標)


(画像:福井県の日吉神社)


例祭にあたり

一。「官幣社」皇室より神饌・幣帛を供される神社(大・中・小)
 ※平安時代の「二十二社」など朝廷に所縁の深い神社が列格
 ※人物神を祀る神社(楠正成を祀る湊川神社等)は「別格社」と称す

二。「国幣社」国家(国庫)から神饌・幣帛を供される神社(大・中・小)
 ※主に諸国の「一の宮」が列格

上記二社を「官社」、以下を「民社」とも。

三。「府社」・「県社」府や県から神饌・幣帛を供される神社
四。「郷社」 郡や市から神饌・幣帛を供される神社
五。「村社」 村から神饌・幣帛を供される神社

六。「無格社」地方団体から幣帛や神饌料供進がない神社
 ※「雑社」とも呼ばれ、終戦当時の数は59.997社。全国の神社の半数近くを占める。

《例外》伊勢の神宮。
伊勢の神宮が「尊貴無上」であることから社格を与えられず。(無格社ではない)


《戦後》

昭和21年2月2日。連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の神道指令による神社の国家管理の廃止に伴い、社格制度も廃止。


GHQからの干渉を防ぐため埋められた社格。

官国幣社は廃止されたものの、現在でも、天皇陛下が各地に行幸の際には、その地の旧官国幣社に幣饌料を供えます。


【別表神社】(戦後から現代)

昭和20年、終戦後に廃止されたので社格制度はありません。
基本的に「じんじゃ、みな、びょーどー」。

《例外1》伊勢神宮

《例外2》神社本庁の包括下にある神社の「別表に掲げる神社(別表神社)」と「諸社」の区分け


「別表神社」
信仰的・社会的現状から、他の一般の神社と同様に扱うことは適当ではないことから、区別される神社。


(画像:和歌山県の熊野速玉大社)

社殿・境内地・神職数・予算等が一定標準以上の神社であり、「権宮司」という職階を置くことができるのも別表神社(の中でも特に一定の基準に達した神社)だけであり、職員の任用や身分に関して、諸社の職員とは異なる扱いを受け、間接的にその神社が重視されるため「別表神社」という呼称が社格のようなステイタス感を覚えますが、法的には「神社は平等」。


(画像:淡路島の伊弉諾神宮の社標)

本庁包括下の神社は全国に79,057社。
別表神社に指定されている神社は346社(平成16年)。

※別表神社はあくまでも神社本庁の制度。
 単立の神社(伏見稲荷大社、日光東照宮等)は当然「別表神社」には含まれません。

※別表神社については「wikipedia」に詳しく記載があります。
http://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A5%E8%A1%A8%E7%A5%9E%E7%A4%BE


私も眠い。


参考文献
「神道事典」(國學院大學日本文化研究所編集/弘文堂)
「神道の基礎知識と基礎問題」(神社新報社)
「解りやすい神道の歴史」(神社新報社)
「神道辞典」(安津素彦・梅田義彦監修版/堀書店)

いつも応援いただきありがとうございます。お社の由緒書や社標をぱぱっと見て「式内社だー」「おや、村社だってー」とそのままのみ込んで参りましたので、自身のお勉強を兼ねてだらだらと書いてしまいました。「式内社」とは何か。ここ、ポイントです。
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ぽちぽちぽっち、ありがとうございます。
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非公開コメント

No title

群馬県前橋市の産泰神社の太々神楽の「音声付動画」を1件見つけて来て記事の最後での19.で見れます!魚吊りで結構面白いですね!

No title

こんばんは。

今回の社格についてもありがたうございます。とても解り易く勉強になりました。

あゝ、深緑の大原野神社。思ひ出すだけでも、感動が甦ります。
あつ、最近、「そうだ京都、行こう」のCMが「裏ワザ教えます」として、もみぢの名所の深緑の時期を紹介してをりますが、やめてほしいです。深緑の頃は人出も少なく、しんとした中でゆつくり寺社の深緑とその空間の厳かさを感じたいのに・・・。
「大麻神社行き」。あゝ、懐かしい。徳島バスにはお世話になりました。バスにはお世話になつてゐても、大麻比古神社にお参りしたことがない罰当り橘右です・・・(汗)
四国、なんやかんやで楽しかつたなといまさらながら思ひ出しました。

脳みそのキャパが

【一の宮】で限界です(・∀・)ダメ?

>国司の存在しなかった北海道・沖縄には一宮はありません。

・゜・(つД`q。)・゜・シクシクシク・・・・

神社の社格とか、いつか調べたいな~
と思ってはいたんですが本業研究と関連するのが【一の宮】あたりだけなんで、ずっと後回しにしてサボってましたの(*´m`)ムフフ

つねまる様がまとめて下さったおかげで、勉強できました。
ありがとうございますm(__)m

感謝のぽちぽちぽちーーー☆

No title

つねまるさん、こんばんわー♪

今日は難しい話でした><

ふと思ったのですが、宗教系の大学は多いのですが、
神社系の大学はあるのだろうか。

神主さんはどこで育成されるのでしょうね(^。^)

四方様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。早速画像を探して下さり、心より御礼申し上げます。

「神楽」という舞は能楽にもあるのですが、幣を手に、神様にぬかづいたり、祓う仕草をします。

民俗芸能の太々神楽はまた全く趣が違っていてとても面白かったです。
ありがとうございました。

橘右近大夫様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

何を今さら的な内容で申し訳ないです。
今は平等ですよーっと言われても、神社自身がかつての社格を主張するのですから、矛盾してますねー。

えー、そんなCMがあるのですか。うーん、やめてぇー。

・・・といっても、私のお詣りする神社は画像が語るように人がいないんですけどぉー。おほほほ。

若葉と深緑の季節は、いいですよね。蚊の大軍団の襲撃を受けますけど、緑とお社の風景、しーんとした境内、私も大好きです。

そうそう。橘右近大夫様は淡路島を通過して徳島県へ通勤されていましたねー。なんて素敵って思ってました。

大麻比古神社の、何か吸って吐いてるでしょ?ね?って狛犬、シュールでした。
四国、また行きたいな。でも道が。道が。がががが。

ガードレールなしの崖っぷち、車幅ぎりぎり、真っ暗なトンネル。
徳島市周辺でうろついている分にはよかったんですがー。こほこほ。

時乃★栞様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

>【一の宮】で限界です(・∀・)ダメ?

かわいい顔しても、お姉さんは許しませんよ。
うふふふふ。

目で見えるものに執着してしまい、「ここはもと郷社」どころか祭神さえ抜けていることがある弊記事です。こほんっ。
お社を、狛さんで思い出すという・・・おほほ。

無格社の位置付けとか、明治の社格制度での順位とか、見解が分かれてます。今は既にない社格なので云々しても仕方ないのになーっと思うのですが、こだわる人も中にはいるようで。

高野山の本屋さんでゲットした神道の本を眺めつつ、簡単な事を難しく考えることってわけわからん、っと頭が混乱したのでした。

piglet01様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

カトリックの学校があるように、立派な大学も養成機関もありますよー。

神社本庁包括下の神社では、「神職になるための前提条件である階位」が必要です。

神職養成機関に入学。→※
階位検定講習会を受講。
神職養成通信教育を受講。
階位検定試験を受験。

※神社本庁指定の神職養成機関に限れば
「國學院大学」と「皇學館大学」と、「出羽三山神社神職養成所」、「志波彦神社・塩竈神社神職養成所」、「熱田神宮学院」、「京都國學院」、「神宮研修所」、「大社國學館」という6つの神職養成所と、「通信制の大阪國學院」の七つ。

よって神職養成機関としての大学は「國學院大学」と「皇學館大学」。
神道の研究室は、教授がいれば他大学にもあると思います。

一般大学を卒業後、皇學館大学へ入り直して神職になった友人がおりまして。お坊さんのように家を継ぐから神職になる人が大半の中、彼のように一般家庭から神職になる人も増えてるようです。
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つねまる

Author:つねまる
史跡をちょろ見しながら、景色を楽しむゆっくり旅。地味。

古典芸能の能楽の、謡と仕舞のお稽古ぐだぐだ日記も。

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