木本神社。熊野灘の水は飲めません。

獅子岩。
紀伊半島南部では、熊野酸性岩という火成岩が熊野層群という堆積岩の中に貫入して、那智滝、鬼ヶ城、橋杭岩など特異な風景を作り出しています。

那智の滝。

橋杭岩。津波で一部崩落。

国の名勝鬼ヶ城。

鬼ヶ城は、流紋岩の大岩壁。

鬼ヶ城は数段の階段状になっていて、数回の地盤の隆起の跡と波蝕洞窟と天井の風蝕痕が段々畑のようになっています。
盛り上がっては削られ、盛り上がっては削られ。

その流紋岩は火山岩の一種。
熊野酸性岩と流紋岩のように、火山の影響が大きいのが紀伊半島南部の見所です。

この鬼ヶ城の付け根に鎮座するのが、

木本神社。

紀州藩直轄地のプライド。
【安政の村替騒動】
安政二年。木本方面の紀州藩領二十七ヶ村と有田方面の新宮藩領五ヶ村の知行替えに反対する木本の人々の一揆を防ぐため、江戸詰御勘定奉行の吉田庄太夫が熊野に来て説得にあたり、知行替えを行わないとの誓詞を独断で書き中止させるも、その責任を取り自害。

吉田庄太夫を祀る吉田大明神石祠。

今は平和なお社。
しかし、目の前はなんと。

堤防と国道。
向こう側に渡ると、

水門おーぷん。

うーみー。
っと、かくの如く目の前は海。また、木本の土地は砂礫層に覆われていて、水に恵まれず。
干ばつの時には、一荷なんぼ、と飲み水を販売していたといいます。

1712(正徳2)年。長年の水不足解消のため、木本浦の浜地太右衛門さんが水源地から町内四カ所(低地)に水を引くための工事を行います。
長い松の木を縦に割り、中をくりぬいたものを合わせて土の中に埋めて水を引く水道管を作り、「水槽石」に貯水。
木本の人々の飲料水としました。

当時四カ所に配置された水槽石は、木本神社の手水鉢を含め四個とも現存しています。
そんな木本の地。大変だったんだなぁ。

狛犬さんは笑顔。ほっこり。

笑顔でおねだり。最強。

お祭り?

おや、ビーバーの尻尾。かわいい。
阿吽で尻尾が違うとこ、お気に入り♪

お神輿だー。
毎年、神輿の渡御に付き添う形で「六方行列」が進む木本祭りは熊野市無形民俗文化財。

歴史の語り部。
木本神社
《住所》三重県熊野市木本町95
いつも応援いただきありがとうございます。目の前にお水はたっぷりあるけれど、海水では飲めず。木本神社には鎌倉時代のものとされる木像狛犬さんがいるのですが、貴重なものなので熊野市歴史資料館の画像で満足しました。この資料館のおじさまが、熊野市大好きな素朴で真面目な方で、この方にお会いするのも熊野通いの楽しみのひとつ。うふふ。



ぽちぽちぽっち、ありがとうございます。
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