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敦賀探訪・新内節

こんばんは。

敦賀の気比神宮の大鳥居を出て信号を渡ると、こんな石碑があります。



「新内節」って、ご存じですか?

新内節は、豊後系の浄瑠璃で、宝暦(1751-64)頃、鶴賀若狭掾(つるがわかさのじょう)(1717-86)によって曲風が確立されたものです。

吉原遊廓の町を粋に三味線をつまびきながら艶やかに歌いつつ歩く二人一組の姿が時代劇でちょくちょく出ていたので、なんとなーくお分かりいただけるかしら、と。

あれが、新内節を演奏ながら歩く、「新内流し」です。

時代劇の中だけでなく、ごく最近の吉原、神楽坂、深川などの花柳界でも、二人一組(一枚一挺といいます)で歩きながら演奏する姿がよく見られたといいます。



「新内流し」では、太夫は地の部分の三味線を、三味線弾きは上調子(高い調子の三味線)を受け持ちます。(ゆずをご想像ください)

三味線は中棹(棹の太さと胴の大きさが中程度のもの。種類が多く、義太夫節を除く各種浄瑠璃や地歌などで各様のものを用いる)を用います。

新内節は抒情豊かな語りが特徴で、題材には、駆け落ち、心中など男女の恋に関係する人情劇が描かれています。
それは創設の由来を見るとよくわかりますので、おつきあいくださいませ。


「新内節」の初代・鶴賀若狭掾(つるがわかさのじょう)の出身地が、ここ、敦賀。

本名は高井庄兵衛。敦賀の紙屋町(現・元町)の両替商若狭屋に生誕。若い頃に江戸へ上り、名古屋や江戸で歌舞伎に出て大評判となった心中物を得意とする「豊後節」の宮古路豊後掾の弟子の富士松薩摩掾(ふじまつさつまのじょう)の弟子となりました。

江戸幕府が心中物を禁止したことから、豊後節は浄瑠璃へと変化し、分派。
富士松薩摩掾は、富士松派を創設。
弟子となった鶴賀若狭掾は、鶴賀節(鶴賀派)を立てます。

そして、鶴賀若狭掾は、実際に起きた心中事件をもとに作曲。
記憶に新しい事件を題材とした作品は江戸で大当たり。

非常に人気が出て清元節に移され、『明烏花濡衣(あけがらすはなのぬれぎぬ)』という題名で歌舞伎にもなり、これも話題をよびました。

鶴賀若狭掾が作詞・作曲したものは現在にも多く伝わっています。
『二重衣恋占(ふたえぎぬこいのうらかた)』
『帰咲名残命毛(かえりざきなごりのいのちげ)』
『蘭蝶(らんちょう)』本名題《若木仇名草(わかぎのあだなぐさ)》


「新内」の名は、美声で人気のあった若狭掾の弟子の2代目・鶴賀新内(つるがしんない)の名前から名付けられたといわれています。


このような経緯で創設された「新内節」なので、情緒豊かな語りと歌、遊女の心情をきめこまかに描いた曲の内容を併せ持ち、江戸情緒を代表する庶民的な音楽(浄瑠璃)として人気を博したのです。

「新内節」の名称は、富士松・鶴賀両派を包摂するかたちで現在に至っています。

そして、現在は、1999年に11代目鶴賀流家元を継承し、2000年に3代目鶴賀若狭掾を襲名、2001年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された鶴賀若狭掾先生が、新内節の普及に尽力されています。


ちょっと大人の芸能ですが、とても情緒ある面白い古典芸能ですので、ぜひ一度機会を作ってご覧くださいませ。



皆様の応援のおかげで更新頑張れます。たまには粋な江戸情緒もいかがでしょう?初世鶴賀若狭掾直筆の掛軸に曰く「自然の中の音にも 皆音律を得たる徳があるが今の人はそれがわからない。この門に入門したる者はよく花鳥風月に学び 愈々精を出すべし」。ふむ。ふむ。むーん。難しゅうござる。
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ぽちぽちぽっち、ありがとうございます。
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古のミュージシャンですね

つねまる様

つねまる様、おはようございます。
今日も勉強になりました^^
早速新内節の動画を探して見ましたが、「あっ、見たことあるよ!」と思いました。人情ものでかなり庶民的なものだったようですね。
一枚一挺が、古のストリートミュージシャンと言った感じです。
「わずか300年で、日本の音楽もここまで変わったのか・・・。」と思うと、これから300年後には、私たちはどんな音楽を聞くのでしょうね?先生方にはぜひ文化継承に頑張って欲しく、応援したいものです。
それでは、次回の記事も楽しみにしていますよ。

徳平先生

おはようございます。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

早速動画をご覧いただいたとのこと、さすがです。
私の初見は、NHKの古典芸能鑑賞会でした。幕間に流れてきた音色に惹かれたのですが、母からあれはちょっと大人のお歌だよ、っと言われ。

旦那衆も小唄などを口ずさみながらそぞろ歩く大人の世界、昔は遊ぶのも教養がないと恥をかいたのでしょうね。

今の男衆は、どんな遊びをしてるのかしらー。うふー。

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