古座川流獅子舞。熊野地域で盛んな獅子舞の源と互盟社

こんにちは。


熊野地域の10月は、あちこちで獅子舞のお稽古風景を見かけます。

今日は、獅子舞のお話。

獅子舞が盛んな熊野地域ですが、その多くが古座川から伝わった「古座獅子」であるとの言い伝えが各地に残り、その範囲は、那智勝浦町・串本・紀伊大島・周参見・白浜・中辺路・大塔・芳養に至ります。

紀伊半島南部全体です。


そんな熊野地域の獅子舞の元祖「古座獅子」は現在、「古座流獅子舞」として、古座青年会(古座)、互盟社(高池下部)、古田獅子保存会(古田)の3団体が各々の流派を伝えています。


【古座の獅子舞(古座青年会)】


古座川「古座」地区の獅子舞(剣の舞)。(①)


古座獅子は、口碑によれば、享保年間(1700年代)より四代に渡って大庄屋として栄えた池の口の大庄屋・中西孫左ヱ門・勝応(かつまさ)が、伊勢参宮の時、伊勢から獅子舞の一座を招き、獅子神楽を広めたと伝えられています。(「古座流獅子舞/古座青年会」より)

獅子舞の形としては、

「しな獅子」(きめ細かい所作)、「あら獅子」(荒々しい獅子頭使い)の2つの大きな分類のなか、特に古座獅子には13曲の舞が伝承。例えば

「幣の舞(へのまい)」
御幣と鈴を割り振って四隅(東西南北)を静める最も重要な舞

「神明讃(しんめいさん)」
獅子が扇を手に優雅に舞う

「剣の舞」
剣を抜き、悪霊を断ち切る舞


面白いのが、奉納する曲は神社ごとに異なる点。

古座神社、九龍島神社、樫野の網代では、「弊の舞」「剣の舞」「乱獅子」

河内神社では、「弊の舞」「乱獅子」。×「剣の舞」

これは河内神社の河内様が「剣を嫌う」から。


【河内祭の獅子舞(互盟社)】

さて、その河内神社です。


河内島がご神体の河内神社では


「河内祭」の神事の後、各地区の祭壇や直会座で獅子舞が演じられます。(②)

御舟祭と共に国の重要無形民族文化財指定を受けているのが、この獅子舞。


互盟社による古座の獅子舞です。(③)


神戸神社近くにある「芳流館互盟社」。

竣工は昭和2年。

地域の活動拠点として建てられ、今もそろばん教室とか寄席等が行われているとか。


ポイントは、この玄関のギリシャ風の彫刻。


「コリント式」の彫刻を、木で作ってみせた棟梁、すごーい。


「互盟社」は、河内神社、神戸神社の例大祭で獅子舞を奉納。

互盟社といっても会社ではなく。

明治に創設された青年会のこと。

集落ごとに組織されたいわゆる「若衆(わかしゅ)組」で、その地区(村)での自警団的活動や消防、祭礼行事などといった仕事を分担。

夜は「若衆宿」に集まって一緒にお泊まりして、いろんな親睦を図った古くから続く習俗なのだとか。

・・・こうして、少年は大人になっていくのね、的な。


内部はまるで道場です。

ここで、青年会の面々から小学生達が獅子舞のお稽古をつけてもらい、伝統が代々続いてきたんですね。


【日置川町田野井の獅子舞】


さて、日置川町田野井地区「春日神社」の獅子舞です。

ここも「古座から伝わった」と言い伝えがあり、他地区である上富田町・岡の獅子舞の由来の中に「元治元年(1864)田の井の甚平、甚五郎がこの古座流を伝えた」と名前が残ります。


・・・すみません。


天狗が残した剣を手に「カジ笛」の音に乗り四方を払います(「五尺」)。


とても躍動感に溢れる素晴らしい獅子舞でした。


お、お疲れさまです。


参考サイト

「古座流獅子舞/古座青年会」
http://www.kushimoto.jp/kozajisi/index.html

「WebNanki/紀伊半島南部に伝わる祭と獅子舞」
http://www.webnanki.jp/index.html

画像①引用元:和歌山県東漁業協同組合古座川支所
画像②③引用元:み熊野ねっと「河内神社/河内祭」


いつも応援いただきありがとうございます。
10月に熊野地域をドライブしたら、あちこちで獅子舞のお稽古風景が見られました。あいにく台風前日だったので急いで帰ったのが残念。獅子舞は各地で独自の舞があり、それがとても面白いですが、熊野地域では古座川の獅子舞が源流となっているのですね。本番をハシゴして拝見したいなぁ。

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お手数をおかけ致します。ありがとうございます。
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非公開コメント

No title

何時もおせわになります。
楽しい写真(狛ちゃん、神社やお寺なども)に、
感心したり、教えられたりしています。

芳流館呉盟社、彫刻が素晴らしいですね。
間近に見られて羨ましい。

獅子舞、やはり日本の伝統が継承されて頼もしいです。
中華の獅子舞、派手で賑やかなので、
民族の違いなんでしょうね。

熊野、半世紀ほども前に行きましたが、
主な観光地を駆け足で回ったくらいでした。
何しろ、金が無い学生では「周遊券」期間内に、
近畿地方を回るので、駅で寝たり夜行列車に乗り、
今考えたら、列車・バスに乗ってる時間が殆ど。
で、熊野や串本などもうわべだけでした。

今回の一連の写真や話に感動しました。

No title

こんばんは、kotodayoriです。

「古座獅子」を初めて知りました。日本古来の伝統芸能なのですね、紀伊半島南部全体に伝えられている源流の「本番」をぜひ見てみたいです。

時々京都で公演される「石見神楽」の迫力にいつも感心していますが、歴史ある「古座獅子」も間近で見ると迫力がありそうですね。

熊野地域の歴史・文化について、またいろいろと教えてください。

よろしくお願いいたします。

one0522様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

とても嬉しいお言葉、励みになります!おー!

自分が見て、すごいなぁ、いいなぁ、他の方々にも見てほしいなぁーっと思った場所をお伝えできて、私も楽し嬉しです。

うわぁ、one0522様は学生のときに学生らしい旅をされたのですね♪

自分で運転して好きなところでゆったりするのは、大人になってからの贅沢で、旅をする本来の楽しさは学生時代の貧乏旅行の方に軍配が上がると思いますのよ。

芳流館呉盟社、ほんと、彫刻が素晴らしかったです。
石造ではないとこが、ツボですよね♪棟梁、すごい。

獅子舞。

四方を踏み固めて五穀豊穣を願ったり、扇と幣を手に舞ったり、静と動の対比があるなど、古座川の獅子舞はとても豊かなものだと思いました。

翁舞に似た所作があるところも、面白かったです。

はじめは異国から伝わったにしても、日本で日本らしく変化し、それが綿々と伝えられた獅子舞は、全く別物になっていますね。

ヤ○キーの踊りのようなヨサ○イより、おわら風の盆のようなものがはるかによろしい、とは私の好みの話。

うちの周りでは子供御輿におじいちゃまが参加するほど地域の活動が末期ですが、熊野のお祭りでは、お兄さん達が一生懸命子供たちに教えている光景を目にしました。

こうして、獅子舞や伝統以外の、していいことと悪いことも習っていくんだろうなぁと思います。

kotodayori様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

あたたかいお言葉、とても嬉しいです!

私も現地へ行くまでは、周参見や串本の獅子舞は見たことがあるものの、古座流獅子舞は、ろくすっぽ調べていなかったのでびっくりしました。

七月の例大祭、行きたいですね。

民俗芸能をホール等で特集戴くこともありますが、やはり、現地で見たい。周りの環境や空気感って、とても大きいと思います。

・・・え。

京都で「石見神楽」!?

ええええー!?

こ、これは知らなかったです!ちょっと慌てて検索してみます!!

kotodayori様、いつも貴重なお話をありがとうございます!

きゃー!

こんばんは

「芳流館互盟社」
なんという、素敵な雰囲気を持った名前でしょう!
青年会でこんな名前をつけるなんて、当時のこの辺りの、向学心とか?が伺われる気がするんだけれど。
学問が根付いていたんでしょうか。
建物がまた素敵で。

≪ヤ○キーの踊りのようなヨサ○イより、おわら風の盆のようなものがはるかによろしい≫
同じ同じ、大賛成!
日本の美しさが出ているお祭りですね。
「こきりこ」も素敵ですよね。

万見仙千代様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

そぉーなんですよ!素敵な雰囲気のお名前でしょ?

勝手な想像ですが、獅子舞を通して、この地区には他とは違う凛としたものがなにかあるんじゃないかしら。

特に、他の地域の獅子舞の源流だという自負が強いかと思います。

この建物が建てられた当時は、大きなほ乳類を捕まえる産業が盛んで、豊かだったようです。

町の皆様はとてもとてもご親切で、道に迷った私に由緒や昔話をはさみながら、案内してくださいました。

おっ。

ヨサ○イ、ご同意いただき、ありがとうございます♪

こきりこ、ご存じでしたかっ♪おおお。

いいですよねぇ。

能「放下僧」の中に「こきりこ」が出てきまして。

放下僧ってのは、頭巾をかぶり、小切子(こきりこ)を使って歌い舞いながら、いろんな曲芸・手品を演じた人達です。

この曲の中にあるリズムと節回しが豊かな「小歌」に、当時の民謡(?)がそのまま残っているという謡があるんですよー。

面白の。花の都や。筆に書くとも及ばじ。
東には。祇園清水、落ちくる滝の。音羽の嵐に地主の桜はちりぢり。
西は法輪。嵯峨の御寺、廻らば廻れ。
水車の輪の、臨川堰の川波。
川柳は。水に揉まるる 
ふくら雀は。竹に揉まるる
野辺のすすきは。風に揉まるる
都の牛は。車に揉まるる
茶臼は挽木に揉まるる。
げにまこと。忘れたりとよ。
こきりこは放下に揉まるる
こきりこの二つの竹の。
代々を重ねて。うち治まりたる御代かな。


都の風情と、二本の竹の「こきりこ」は放下僧が揉むのよ、ってことを言葉遊びで歌ってます。

うんちくってすみません。
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