真田丸。秀吉の負修羅扇と有楽斎の中啓。小道具に見る暗示

こんにちは。

【扇で暗示する豊臣の行く末】


第23話「攻略」

秀吉、酒宴でうきうき。


扇は、うっきー。

ひょうたん、桐、猿の扇は、きっと特注品。


第22話「裁定」信繁、本多正信、板部岡江雪斎の問答の場面で。

秀吉!あかんがな!その扇、だめよー!

と、こーふんしました。なぜなら秀吉が手にしているのは、


負修羅扇。図柄は「立波入り日」

能では、源平を主題にした曲が多いですが、主役(シテ)の大半は平家の公達。

ふらっと現れて「修羅道が辛いよぉ。供養してくれよぉ」と訴えます。

屋島の戦い、壇ノ浦の戦いと続けて敗北し、海に消えた平家の公達を連想するような図柄です。

これと相対するのが、


勝修羅扇。図柄は「老松に旭日」

いつか家康が持つのかと楽しみにしてましたが、なかった。残念。


現行2百番を数える能の中で、主役(シテ)が勝利者であるのは、「田村」「箙」「八島/屋島」の3曲のみ。

これ以外は全て負修羅。

そんな扇。


第30話「黄昏」

吉野の花見で、秀吉が花咲か爺さんと化した話ですが、この時も


なぜ負修羅扇を持つのだ、秀吉!!

・・・小道具さんには、絶対に能好きがいる。


【扇とサスペンスぅ~】

サスペンスといえば、道ならぬ恋と謎解き。


第23話「攻略」利休の商品陳列部屋にて。


きれいな扇は、五本骨の蝙蝠扇(かわほり)。


茶々が選んだ扇。柄は、山吹ではなかろうか?


第19話「恋路」で、茶々が押し花にした山吹。

信繁が見つめていたら、きりに食われてしまったお花でした。


さてこの扇。刻印のお魚が


小田原城に秘蔵されていた鉛の刻印と一致。


お魚マークといえば、元はお魚屋さんの利休のマーク。

犯人は、お前だ!


この時は脱出できた利休でしたが、後はご存じの通り切腹。


【扇の一種、中啓】


第21話「戦端」

本多正信は年相応な地味な扇。渋い。

その一方、


第22話「裁定」板部岡江雪斎の扇。

きぃーっとなった江雪斎が広げてしまったのではなく。

これは「中啓(ちゅうけい)」という扇。

「中ば(なかば)啓く(ひらく)」、閉じても骨自体が外開きなので広がります。

笏(しゃく)の代用として、公家、武家共に儀礼用の持ち物として用いられましたが、現在でも神職さんやお坊さんが手にしています。

※細部は各々微妙に異なります


第46話「砲弾」織田有楽斎の扇も、中啓。

この扇を見たとき、感動したのー。
形式的とはいえ、出家姿でしょ、だけど趣味人でしょ。


さすが有楽斎。金地に松とお日様が描かれていそうなおしゃれさん。


なぜこんなに中啓でうきゃうきゃしたかというと。

能の装束のひとつとして、中啓は必需品なのです。



第27話「不信」 能「源氏供養」ワキの僧の手には、中啓。


前シテ。じーっと目を凝らしてご覧下さい。手に中啓。


後シテの手にも中啓。


通常用いる仕舞扇と見比べると


きれいな女の人が持つ鬘(かずら)扇。形は中啓。

骨が多く紙が狭い。細かく折り折りされたこれ。
持ちにくい上に、装束に引っ掛かって閉じてしまうので、四苦八苦。


【真田さんちと扇】

真田さんちの扇といえばかーちゃんがてんこ盛りにしてましたが、


第36話「勝負」やはりパパ幸でしょ。いざ関ヶ原。


・・・黒地に赤のお日様の軍扇だけ。えー。



第4話「挑戦」の「扇をわしづかむ家康」からスタートした真田扇丸。

楽しかったです。


いつも応援いただきありがとうございます。前記事の家康の出世と共に進化する扇と対照的に、豊臣の行く末を暗示するかのように、小田原攻めの頃から負修羅扇を秀吉に持たせるとは、すごいなー。小道具さん、尊敬しちゃうわー。細かな史実には無知でも、自分の知ってるものに注目してきゃいきゃい出来て、とっても楽しい1年間でした。

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お手数をおかけ致します。ありがとうございます。
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扇、勉強になりました

扇、そうだったんですか。

勝修羅、負修羅、初めて知りました。

つねまるさんのようによくご存知の方は、時代劇の観賞の仕方が違う、奥が深いとつくづく感心しました。
これからは私もちょっと心がけて見てみようと思います。

それにしても日本人って凝り性というか、いろいろのものに黙って何かを語らせるのが得意ですね。

なんとォ!

つねまるさんのマニアック解説、むちゃくちゃ面白いです… Σ(゚д゚lll)

テレビないから、たまたま最終回観れたぐらいで、
ほとんど観てないのですが、

再放送あるのかな。

…テレビ買おうかな。
それともレンタルビデオ出るの待とうかな…


あ、夏泊神社、自分の目で見たくて行ってきました!
狛さんの肉まん見ました✨

あれ、なんかな。
ほしいです…(*‘ω‘ *)

No title

こんばんは。

すごいな~ つねまるさん!
扇って、こんなに色んな種類があって、しかも意味があるのね。
そこに気付くつねまるさん。
観方が全然違ったんでしょうね。
傍で解説していただきたかったわ。

扇って、こうしてみると、それぞれに美しいのねぇ。
かーちゃんがいっぱい並べて、惚れ惚れと見ていた気持ちも分かるわ。

雨宮清子(ちから姫)様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

扇、そうだったんですよー。

仕舞を習い始めるとまず始めにこの蘊蓄から勉強します。
能ってのはね、に、つながるもので。

江戸時代はさっぱりなので、いわゆる捕物帖のような時代劇は得意じゃないのですが、この真田丸の頃は能の転換期でもあり、研究するには楽しい時代です。

主に能の扇を取り上げておりますが、日舞等も能の題材を踏襲しているので、基本的に同じだと思って差し支えないかと思います。

今回の大河では、時代考証の方がネット発信をこまめにされていたので、それも楽しみました。


>それにしても日本人って凝り性というか、いろいろのものに黙って何かを語らせるのが得意ですね。

いいお言葉ですねー!さすがでございます。

能装束の、絶対に観客からは見えないところにこだわっているのも、そのひとつですね。

ただ、教えてもらわないとわからないところがタマニキズ。
それでも、日本の美意識っていいなぁ、すごいなぁと誇りに思います。

欲なんか深くない海月様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

んふふ。ありがとうございます♪

・・・あ。テレビ不在とのこと、納得できるかも。
あちこちお出掛けになるなら、不要ですものね。うん。

普段は二時間ほどしか見ないので、地上波オンリー。
テレビは、大きな置物でもあります。

PCがあれば、確か見えるかと思います。

おおおおー!?

夏泊神社へようこそお越しぃーーーー!!!

ありがとうございますっ。

きっと狛犬さんは、大喜びでうきゃうきゃと笑顔を振りまいていたことかと。

あの肉まん、おいしそうですよね。
絶妙な大きさと形。

ほんと、あれ、何なのでしょね。

万見仙千代様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

えへへへ。好きなものにはどっぷりつかるので、えらそに蘊蓄たれました。

扇の種類は果てしなく、奥深いです。

宝探しというより、間違い探しのように目玉をぐりぐりにして、見てました。
しつこくなく、さっぱりと、さらっと出してくるところが心憎いです。

扇って、ほんとに美術品です。
手間を思えば、うん万円するのもわかります。
京都の能の扇専門店へ行くと、入場料を払わなくていいのかと思うほど見事です。

かーちゃんにとっての都の扇というのは、扇だけのお値段でははかることが出来ない大切な背景があるのでしょうね。

No title

こんばんは!

へ~小道具にこんな意味が籠められていたのですね!それに気づくつねまるさん凄いわ!!
さすがだわ~ 座布団10枚\(^o^)/

改めて、真田丸を見直したくなりました。
なかなか直虎モードになれないわたし・・・

No title

面白いですね~!
扇にそんなに種類があってそんなイミがあるとは。
勉強になりました(^^)
形にも絵柄にも色んな意味を持たせて登場していたんですね。
知ってたらもっとドラマが面白かったな~!
 

しずか様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

そーなんです。小道具には、いろんなスリルとサスペンスぅがこめられていたようですのよ。

木を見て森を見ず、ではありますが、小さなことにこだわって作品を見るのも面白いです。

うわぁい。座布団10枚もろたー、海外旅行だー♪

はっ。このあとおとされるのではっ!?

しずか様が直虎モードにならなくてどうしますっ。
私はしずか様の地元ネタを楽しみにしておりますのに。

舘山寺温泉とか、うなぎのうまいお店とか。

あ、ちがう・・・(;・∀・)

きと様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

尾も白いでしょー!?

(・・・べた過ぎて失礼)

扇の種類は果てしなくありますが、負修羅と勝修羅は見た目にも一番わかりやすいですね。白黒はっきりさせようぜいって感じで。

えへへ。

本編の放送中では、いまいち自信がなくて内緒内緒。
全編を見終えて、あー、すごく扇にこだわりがあったんだなーっと感動して、これなら、お話してもいいかなー?と思いまして。

製作側は、扇を知っていて、使っていると思います。

年末に総集編があるようなので、ぜひ~♪

No title

こんばんは。

こういう楽しみ方も有るのかと感心しました。

それにしてもお詳しいですね。
小道具さんがこのブログ見たら、小躍りして喜ぶかも。(笑)

あまり目立たない仕事だから、認めて貰ったら普通以上に嬉しいでしょうからね。

No title

こんにちは。お邪魔します。
わあ、、
以前にも真田丸での能とのつながりのお話拝読させていただきましたが、
一つ一つの扇にそんな深い意味があったのですね~~と改めて。。
小道具の方もつねまる様のように能の造詣が深い方が御担当されていたのですね。
全編ではないのですが撮り溜めていた録画
また見直す時別の角度から見る楽しみが出来、
有難うございますー!!

こんばんは

これほどドラマを楽しめる説明、見ていなかったのが残念です。
歴史だけでなく、ここまで詳しい観察力に感動です。

三谷さんも、そして小道具さんも満足ですね。

来年は、ダイジェストとか再放送があるでしょうから、
扇の場面は、特に念入りに見ますよ♪

次の「直虎」男だとか言う話もありますが、
つねまるさんの解説が楽しみです。

山田様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

謡と仕舞のお稽古を続けて四半世紀になりますが、まだまだ知らないことばかりです。

小道具さん、ほんとにいい仕事をされてるなーっと感動します。

時代考証の方と相談しながらのこととは思いますが、これを選ぶかね、っと、にやにやしながら見ておりました。

小躍りして喜んでいただけたらいいなー。

おきまちあき様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

覚えていてくださいましたのね。嬉しいです。

知っていることを形にできるお仕事、縁の下の力持ちでしょうけと、やりがいがあるでしょうね。

ほんとはリアルタイムで記事にすりゃいいのですが、全編を見終わったから気付いたことが多いです。

貯まっている録画をゆっくり見るのもいいですね。
ぜひ、美声に悶絶しながら、楽しんでくださいまし♪

one0522様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

後だしジャンケンで申し訳ないです。

お稽古をしているので、どうしても視線が扇をとらえてしまいました。
30日に総集編があるようなので、ぜひぜひ。
私も、見ます。全話録画をしてますが、総集編は総集編でガッツリ見たいです。

直虎が男というお話、しばらくは議論の余地があるでしょうが、今、そんなこと言われても困りますよね。

柴崎コウさん、メンズに変身しなくちゃー!

No title

このページと家康さんの扇・・勝手に自分の日記にリンクはりました。あまりに面白かったので・・・。
すみません。

http://blogs.yahoo.co.jp/randokku2000/40355424.html

乱読F様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

あまりに面白かった、とのお言葉、ほんとに嬉しいです。
ありがとうございます♪

たまーにしか、面白いお話が出来ないでおりますが、お気に召していただけるものがあるなら、とてもとてもありがたくて、また、励みになります。

三好さんとこもご無沙汰なので、また追いかけなくては。

そちらへお返事致しました。
こそばゆいほどのご紹介、ありがとうございました。
ぼりぼりぼり。
プロフィール

つねまる

Author:つねまる
史跡をちょろ見しながら、景色を楽しむゆっくり旅。地味。

古典芸能の能楽の、謡と仕舞のお稽古ぐだぐだ日記も。

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