金屋子神社(1)出土した巨大なケラの数々と足立美術館

こんにちは。


安来市西比田に鎮座する金屋子神社。


金屋子神社へ来た目的は~


神社周辺から出土したケラ(かねへんに母)。


砂鉄を原料とするたたら製鉄操業(ケラ押し法)で、炉の底に育った塊です。


安来市の和鋼博物館屋外展示


江戸中期。安来市広瀬町布部のケラ。


安来市広瀬には、月山富田城。

鉄師のたたらが点在する奥出雲町から流れる飯梨川の下流域にあたり、


上流での砂鉄採掘による土砂等が流入し、川底が上昇。


近くには、横山大観と日本庭園の足立美術館(画像/wikipediaより)

足立美術館創設者の故足立全康氏は、木炭運びから身を起こし、太平洋戦争中には日本刀(軍刀)を作る株式会社出雲刀剣を創立。

㈱出雲刀剣では、市原たたら(安来市広瀬町西比田)や樋廻(ひのさこ)たたら(同町布部)の鋼を用いたそうです。

たたらには炭が不可欠。
故足立全康氏の原点はこの木炭を安来へ売りに行き、帰りは赤貝等を運び。

終戦に伴い軍刀作りは終わり、横山大観の絵に感動し収集。
昭和45年(1970)、71歳で生家のある安来市古川町に足立美術館を開館。

借景として目に映る山々は、たたら製鉄操業で用いる炭の材料の落葉樹の山。


1944年。仁多郡奥出雲町竹崎「叢雲(むらくも)たたら」のケラ。

3.5トン。

叢雲(むらくも)たたらは、松江藩9鉄師の卜蔵家の主力炉「原たたら」跡に帝国製鉄株式会社が借り受け、終戦まで操業。


1981年。仁多郡奥出雲町大呂「日刀保たたら」のケラ。


安来市広瀬町西比田「市原たたら」

市原たたらの経営者・松浦弥太郎の銅小屋で当鉄(あてがね)として使用。

足立美術館創設者の故足立全康氏の㈱出雲刀剣で用いた玉鋼は、市原たたら。


1964年。日立金属安来工場。

海綿鉄から作られ、左の角形350kg、右の丸形300kg。


金屋子神社。

ケラは通常、熱いうちに鉄池に入れて冷却し、大鍛冶で部位ごとに割り出荷しますが、操業の失敗か何らかの原因により、そのまま放置されたものが田んぼの下や河川から出土。


安来市東比田猿隠山麓の谷川より出土のケラ。


宇波地区出土のケラ。


金屋子神社宮司さんの家の前の田んぼから出土。

4~5百年前のケラ(金沢大学による測定)。

月山富田城を奪取した尼子経久は、文明18年(1486)に金屋子神社へ参詣。


下は追神集落、上は梶集落の田んぼから出土のケラ


丸い炉なんてないので、失敗したのかな?


宇波地区出土のノロ。

重さ3.5トン。


比較対照が出来なくて申し訳ない。


ノロは、たたら製鉄操業の際に排出される不純物。

製鉄遺跡の中で製鉄炉跡とならび重要なのが、ノロ(鉄滓)。


下記の事項がわかるそうで。(日立金属HPより引用)


使用原料が砂鉄?鉄鉱石?砂鉄だとすれば、真砂か、赤目か?

製錬時の鉄滓(製錬滓)?鍛冶の際の鉄滓(鍛冶滓)?鍛冶ならば大鍛冶か、小鍛冶か?

製錬技術の程度(温度、還元率、ズク押し?ケラ押し?)

噛み込んだ木炭から使用木炭の種類およびC14分析による稼業年代の推定


製造した鉄器は腐食されてなくなることが多く、また古鉄として再利用されますので、なかなか残りません。

しかし、鉄滓は「金糞」と呼ばれて近くに廃棄されていたので、鉄滓の出る所の近くには何らかの製鉄遺跡があったと考えられます。しかも、鉄滓は酸化物の形で極めて安定ですから昔のままの状態で残されており、貴重な資料になります。
(引用終わり)



お待ちになって。


いつも応援いただきありがとうございます。
金屋子神社は人に製鉄を教えたという金屋子神に関わりのあるお社。ずらりと並んだ古いケラの大きさにびっくりです。こんなものがごろんっと出てきたら、さぞかしびっくり&邪魔だったことでしょうね。谷川から見つけられたケラがまぁるいところがちょっとほっこりです。

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No title

こんばんは。

確かに、写真ではあまり良く分からないんですが、そんなに大きいんですね。
田んぼからゴロゴロ出てきたら、驚かれたでしょうね。
≪1964年、日立金属安来工場≫ の洗練された姿は、何だか世界が違う感じ。
≪製造した鉄器は腐食されてなくなることが多く、また古鉄として再利用されますので、なかなか残りません≫
そういう物なんですねぇ。

No title

つねまるさん、こんにちわ~♪

ケラ~、と呼んでいるので、コオロギでも探しているのかと思いました。

う~ん、ケラというのは、学生時代に習った「スラグ」のような気がします。

大きさの比較には、つねまるさんが座ってくれたら一目瞭然でしたねー。
ダレ! ケラが割れるといったのは・・・。
後ろの方から聞こえましたけど。。。

万見仙千代様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

すみませんすみません、分かりにくいですよね。

日立金属安来工場から派遣の社員さんは、今も村下さんの元でたたら製鉄操業の勉強をされて、こちら専属の方々がおいでです。
村下さんも、所属は日立金属になるそうです。

たたら製鉄部門は一時廃止の話もあったそうですが、伝統を途絶えさせてはならないと、継続しているとか。(安来市役所の人談)

インゴットは、製鉄された鋼そのもののカタマリです。
なので、いろんなものが混じるケラより小さくてもずっしり。

古墳の発掘時に、鉄器の出土が少ないのは、要は錆びてなくなってしまうからで。

一生懸命作ったものの方が残らないとは、鉄ってのはお気の毒なものだなぁと思います。

piglet01様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

けらけらけら~♪

たたら製鉄操業の、ケラ押し法の場合は、炉の下から出すノロと、ケラを部位ごとに割り、その後に用途がない部分の二つがスラグになります。

ズク押し法では、炉の下から出すズクを割り、鋼でないものをノロといいます。これがスラグになります。

放置されたケラなので、ご指摘のようにスラグも多いのかと思います。

で。

誰ですか、その声は。

後ろの下の方から聞こえましたけど。

pigletくんか!?

No title

あの、インゴットこそ、海綿鉄を溶解したハクセンカイですね。何万トンも生産された筈。感動しました。

金屋子様

こんにちは。コメントありがとうございます。

おおお、インゴットにコメントいただき、びっくり嬉しいです。

貴重なお話、ありがとうございます。
インゴットに隠れた情報、しっかり拾わないといけませんね。

宿題にして、ゆっくり調べてみなくては。

No title

あの、有名な海綿鉄のルーツ、たたらですね。日本遺産に指定されたとか。

佐藤様

こんにちは。
コメントいただきありがとうございます。

海綿鉄にご注目いただきありがとうございます!

この記事で前のコメントをいただいた折りに調べたら、海綿鉄というものの存在が大きかったのだなぁと驚きました。

満鉄にまで繋がるお話なのですね。

海綿鉄を作るのは、木炭と砂鉄。まさにたたら製鉄そのものですね。

この海綿鉄製鉄に用いる十神炉(とかみろ)を和鋼博物館で知りましたが、それまで粘土で作られた炉ばかりを見てきたので、タイヤのような形はとてもびっくりしました。

海綿鉄のルーツはご指摘の通り、たたら製鉄ですね。

日本遺産に指定され、たたらの盛んであった地域は「鉄の道」として整備を始めておいでです。

たたらは「日本のものづくり」の原点とか、象徴だとか、様々な言葉で再評価されつつありますが、もっともっと全国的に広まるといいなぁと思います。

先人ファイター達に敬意

最近改めて、思い直したのは、安来和彊会。今の安来工場の発展に尽くされた素晴らしい先人たちだと思っています。

鈴鹿様

こんにちは。ご訪問とコメントありがとうございます。

企業のOB会である安来和彊会なるものを存じませんのでよくわかりませんし、私は安来工場とはご縁がありませんので何とも申しようがございません。

先人達のご苦労と努力は大変なものがあったでしょうし、たたら製鉄操業を現在も後援し、社員を派遣している某企業の姿勢はすごいなぁと思います。

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