菅谷高殿。たたら製鉄の現場と映画「たたら侍」

こんにちは。


山奥の温泉宿でお目覚め。

出雲の山奥で目指すものは、たたら。

たたらとは、四角い炉で木炭を燃料に砂鉄を変化(還元)させた製鉄法。

出雲地域には、海、川、山、に砂鉄。

砂鉄は磁石で、ビーっと集めたのではなく。

たたらで主に用いられた砂鉄は山のもの。


湯の花を作るように、絶妙な水量で砂鉄を沈殿させ採取。

※画像は湯の花作成中ですよー


これが、砂鉄。少しほじったのは、私。

さ、いよいよ。


雲南市の菅谷たたら山内へ。

「山内」とは、たたら製鉄を中心とした集落のこと。


村下屋敷とは、むらしたさんち、ではなく「むらげ」の屋敷。

「むらげ」とは、たたら製鉄における技師長。

世襲で一子相伝。


たたら製鉄を行う炉等を囲む建物を高殿といいます。

風がよく吹く山の斜面に炉を作る「野だたら」から、江戸時代には建物内部で行うように。

高熱でぼろぼろになる炉以外は繰り返し使う「永代だたら」というものです。

この菅谷地区では鎌倉時代よりたたら製鉄を行っていたそうです。
1751年に作られた高殿は、実際に使われた建物であり、全国唯一の遺構だそう。

なので、来たかったの。


真ん中の棺のようなものが、炉。

この地下には、徹底的に水分を除去した基礎の石積が数メートル。

鉄が溶ける温度にするので、水分が残っていると水蒸気爆発の可能性。


当時は、一部オープン。

内部が非常に高温になるため、高い天井。


炉の両側に空気を送る、ふいご。

古くは足踏みの送風で、「番子」が一時間交代で踏みました。

かわりばんこ、の語源。


炉(右側)の下部に空気を送る管。

こうして木炭を燃焼させ、十分に温度を上げてから木炭と砂鉄を交互に投入し、3昼夜かけて砂鉄を還元。

最後に炉を壊して取り出すまでを「一代(ひとよ)」といいます。


炉の内部はV字になっており、底部に空気穴。

穴の数、向きなどは村下(むらげ)の勘と経験。
門外不出、世襲で一子相伝。


炭をくべて一定の具合になったら、砂鉄を投入。

ご飯を炊くときの「はじめちょろちょろ」ではありませんが、炉の炎の色は作業が進むにつれ

夜明けの太陽の色→昼間の太陽の色→夕焼け、日暮れの色

となるのが良いと。

向かいにいる村下の漆黒の装束を背景に炎の色を判断したとか。


高殿前。


作業のトップである村下のおうち。三番までここ。

村下は「一代(ひとよ)」前に


金屋神社の祠に祈り


高殿前の川でみそぎをし、


村下のみ通ることが出来るこの道で高殿へ。

また、作業中に下駄を許されるのは村下のみ。

その代わり、作業の全責任を負いますし、真っ赤な焔を見つめる村下は目をやられます。

こうして、たたら製鉄で出来たのは


ケラ(かねへんに母)。

お肉にバラやヒレがあるように、ひとつのケラにも様々な部位があり、


水車で持ち上げた分銅で割り、部位に仕訳。(水車はふいごの機動にも利用されます)

そして、松江港まで馬で運び船で各地へ輸送。


菅谷高殿の少し山の下に、鉄の歴史博物館。

高殿へ行く前にここでビデオを見ていくことをおすすめ。

村下は皆鬼籍へ入られましたが、存命のうちに炉の下部を作ることから再現し、録画したプロジェクトのビデオです。


若干場所は南東へずれますが、昨日見たのは、


鉄師櫻井家のレンガのたたら角炉。昭和10年より操業。

砂鉄は下から溶けて流れてくるので、それを回収。

「一代(ひとよ)」ごとに炉を壊す必要がなくなり、連続操業可能となるも、約10年で操業停止。

あ、そうそう。


EXILEメンバーが出る映画「たたら侍」。来年公開。これ、菅谷高殿内で撮影。

映画撮影セットが「出雲たたら村」として来月2日までオープン。
ちらっと見たら、居酒屋えぐざいる、とかあるようで。

ここを訪れるファンの子達も菅谷高殿へ来てました。

きっかけは何にせよ、本物も見てみたいと思うのは素晴らしいことだと思います。


(記事出典は、現地説明メモによる)


菅谷の高殿(菅谷たたら山内)

島根県雲南市吉田町吉田4210番地2




いつも応援いただきありがとうございます。
菅谷高殿周りを案内説明して下さったおじさま、頑張ってEXILEメンバーの名前と身長を覚えて、おどおどするファンの子達に一生懸命溶け込もうとされてました。千載一遇のちゃーんす!ですものね。資料館等の展示はわかりやすいですが、やはり本物の持つ迫力は現地ならでは。博物館と高殿で半日も過ごしてしまい、慌てて帰途に着きま・・・二日前に泊まったお宿で皆生温泉に入ってからね。えへ。

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No title

こんばんは~

たたらって聞くと神話から現代まで通じる世界があってワクワクします^^

>かわりばんこ、の語源。

おお!そうだったんだ~( ゚д゚)シランカッタ

やっぱり大事な事は世襲で一子相伝なんですね。
勘ってことは文書にもしてないのか~ちょっと残念^^

温泉で疲れがとれましたか?
お肌ツルツルぷるるん~
ぽちぽちぽちーーー☆彡

No title

こんばんは。

ものすごく興味深いです!
世襲で一子相伝の技師長の家が、高下さんと仰るのでしょうか。
番子が「かわりばんこ」の語源だなんて!
面白いですねぇ。
ビデオ、見てみたいです。

鍵コメ様

こんにちは。

山陰地方の花崗岩が崩れたものは磁鉄鉱系の真砂砂鉄ですが、場所によっては赤目(あこめ)砂鉄(山陽に多い)を採取でき、たたら製鉄では村下が炎の色を見ながらこの二つを微妙に使い分けつつくべていました。

出雲の真砂砂鉄は還元はしにくいけれど品質は良いということは、昔から経験として知られていたらしく、その真砂を用いたたたら製鉄を行っていた村下の経験と勘はすごいものがあります。

のろ、は、炉の下の穴から出したそうです。

村下は菅谷では世襲の一子相伝でしたが、戦後の中断、つまり武器の製造の禁止を経て、工芸品としての日本刀を鍛えるための素材を作るものとして公益財団法人日本美術刀保存協会による復活が認められたたたらがあります。

それが、日刀保たたら。

ここで、存命の村下の下で、日立金属株式会社の社員などを後継者として育成しています。

画像の近代角炉も、日立が関わっています。

はるばる奥出雲まで来てビデオに感動するとは思いもよらず。

一代に挑む村下達が黒装束に身を包み、焔と砂鉄の案配を見極めていく姿は、日本の職人の真髄を体現しているようで、ほんとに素晴らしかったです。このビデオだけでもまた見に行きたいです。

時乃★栞様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

なんか、ワクワクする響きですよね、たたら。

再現ビデオですが、とっても迫力がありましたよ。

そー、かわりばんこ。「番子」という名前のお仕事する人がいたとは知らず。

文書にしても、わからないと思います。

夜明けの太陽の色にするにはどうするか、そもそもそれはどんな色だ、とか。

村下の存命のうちに再現し映像に残したことはほんとにすごいと思います。

鉄分が多かったり、成分が多すぎて湯舟が湯の花でカバーされてたり、しょっぱかったり、にゅるすべだったり。

なんかもう、すごかったです。温泉。

万見仙千代様

こんにちは。いつもご多忙の中のご訪問とコメントありがとうございます。

たたら、面白いですよね。
ぞくぞくするのとワクワクするのと。

高殿に入った瞬間は、森の中のお社へ踏み出したときのような、お外とは違う空気だなーっと感じました。

ほんと、行ってよかったです。

ビデオも、すごく価値がありましたよー。
村下さんの顔つきが普段は好好爺なのに一代となるとガラッと厳しくなるとこが、惚れました。
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