金丸八幡神社(5)磐境の生い立ち

こんにちは。


あっと驚く金丸八幡神社。


びしっと立てられた徳島名産の結晶片岩。

磐境(いわさか)と現地案内板にありました。


【磐境(いわさか)って何だー?】

文献上では『日本書紀』。

高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)の『磐境神籬(いわさかひもろぎ)の神勅』の記述(同文は『古語拾遺』にもあり)。


「私は高天原で皇孫(すめみま)命の為に天津神籬(あまつひもろぎ)、天津磐境(あまついわさか)を起樹(おこした)て、斎(いはひ)奉るので、天児屋根命(あめのこやねのみこと)、天太玉命(あめのふとたまのみこと)も神籬を捧げ持って地上に降りて、皇孫命の為に斎奉れ」(『日本書紀』神代天孫降臨章第二の一)


「神籬と磐境」を設けて祭祀をしますよ、ってこと。


「天津神籬(ひもろぎ)」

青柴垣(あおふしがき/青々とした潅木の垣根)で囲んだ中に、榊などの常緑樹を立てる。
これを「神が宿る憑依物(依代)」として神の降臨を願い祭祀を行う「神籬祭祀」といいます。

『日本書紀』で「起樹(おこした)て」と記している点が面白いです。


「天津磐境(いわさか)」

巨石や岩石で周囲と区画分けし、神の降臨を願い祭祀を行う「磐境祭祀」のこと。


「その実態については古来諸説あるが、社殿発生以前に神を祭るため、臨時に設けられた小規模な石囲いの施設と考えるのが妥当である」
(『国史大辞典』・『磐座・磐境等の考古学的考察』/大場磐雄『神道考古学論攷』所収)


【金丸八幡神社の立たされ石ズ】


さて、そこで金丸八幡神社のこの石達です。


新しい玉垣で囲まれる部分(西側から南、東側)と


立ち並ぶ石の外側に新しく玉垣が設置された区画(北西)と


石達が囲む区画(北側)があります。


明治28年の神社周辺の石の並び。総数387個(判明分のみ)。


「明治に入って、畑作の邪魔になるこの石をのけようとした人々があったが、いずれも腹が痛んだり、怪我をしたりするので、未だに誰も石にさわろうとはしない。」(『三加茂町史』より)

きゃー。


ギリギリ舗装。


さてここで、もう一度金丸八幡神社の由緒に戻ります。

金丸八幡神社は萬治3年(1660)に「八幡宮」として新しく建てられたもの。

「社記によると、往古『建石神社』と称し大己貴命を祀った。中古、金丸山腹に鎮座していた八幡神社を合祀して金丸八幡神社(当時は八幡宮か/by私)と呼ばれた」(『式内社調査報告』)


かつて「建石」と呼ばれる石の列があることは知られていたようですが、これを「磐境」と表記し始めるのは明治以降。

『記・紀』などの古典研究が進み、江戸後期以降に復古神道や国学が流行し、やがて明治新政府へと突っ走る中で、磐座や磐境等の古語が復活。


「この列石は霊域を標榜したもので一種の磐境であるといわれていた。」「国鉄徳島本線三加茂駅に接する八幡神社の境域をめぐり、二重に板石を建てめぐらしていることは古くから知られ、かつて、これを古代の神籬石というような古いものでなく、境域を限り、神域を郭する二重の列石に過ぎないことを確めた。」(『三加茂町史』現地案内板表記引用)


「ここから神域」を示す境目として何かしたいな、お?緑泥片岩がいっぱい♪立てて玉垣にしちゃおー♪っと並べていた建石ですが、


磐境と呼んでって石が言うから今日からこれは磐境くん。

つまり、「神域を示す無名の石達」に、古い呼称を新たに用いて「磐境」と呼び始めたということ。



古い古いほんとの磐境なのか、おニューな磐境なのか、一口に「磐境」といってもいろいろあるんだな、ってお話。



しかし、古代祭祀跡ではないとはいえ、このように巨大な平石を立てて築造した列石は珍しいもの。

大切にしないといけませんね。


道路拡張の時なんかは、要注意。

継続して監視し続ける必要があると思います。


いつも応援いただきありがとうございます。
いわさか、かんなび、かむくら、等と聞くとわくわくしますが、それがほんとに古代祭祀跡なのか、古い言葉を当てはめたものなのか、は、注意することも必要なのでしょうね。金丸八幡神社の石達は、石垣ではなく、立てているところが珍しいです。よほど大きな石がざっくざくだったんですね。

にほんブログ村 歴史ブログ 地方・郷土史へ


いつもありがとうございます。
プロフィール

つねまる

Author:つねまる
史跡をちょろ見しながら、景色を楽しむゆっくり旅。地味。

古典芸能の能楽の、謡と仕舞のお稽古ぐだぐだ日記も。

◎画像の著作権は放棄しておりません。
◎画像と記事の無断使用厳禁!!
◎丸パクリには断固抗議する!!

◎リンク戴く際はご一報下さい。御礼させて戴きたく。
◎一言でもコメント戴ければすごーく嬉しいです。

尚、メールでのお返事は致しませんので、コメント欄をご利用ください。

宜しくお願いいたします。

最新記事
カテゴリ
カレンダー
01 | 2017/02 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 - - - -
月別アーカイブ
リンク
最新コメント
ブログ村さんに参加中
最新トラックバック
分析中
記事の内容から私を解剖。
blogramによるブログ分析
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR
ご来場御礼