FC2ブログ

エルトゥールル号遭難事件(その3)トルコの恩返し

こんにちは。


お天気が良ければ、雄大な海金剛がとても美しい紀伊大島の景観。


数百年来、船の難所と言われてきた船甲羅(ふなごうら)岩礁群で、



座礁し沈没した、トルコ(オスマン帝国)の軍艦・エルトゥールル号。



特派使節オスマン・パシャ海軍少将以下、乗組員650余名。

生存者69名。

残る587名は、死亡または行方不明となる大惨事でした。


【トルコ(オスマン帝国)国内では】

エルトゥールル号の日本への出港はアブデュルハミト2世のオスマン帝国海軍の威信をかけた航海でした。

それ故、横浜港から、日本の反対を押しきる形で出港したのです。

よって、老朽化した木造船であるエルトゥールル号自体の問題や人災の側面はアブデュルハミト2世治世下では、伏せられます。

エルトゥールル号遭難は、天災による殉難とされ、遺族への弔慰金が集められます。

一方で、大島村民による救助活動や、日本政府の尽力は新聞記事で大きく報じられたとか。


【自国民より日本人救助を優先したトルコ】


悲惨な結果となったエルトゥールル号遭難事件。

串本町以外では知られていなかったこの件が、
一躍日本中に広がったのは、イラン・イラク戦争の時。


《日本人は日本に救われず》

イラン・イラク戦争が始まった、1985年3月17日。

イラクのサダム・フセインが「今から40時間後に、イランの上空を飛ぶ飛行機を打ち落とす」と世界に向かって発信。

イラン在住邦人は、テヘラン空港からどの飛行機も満席のため出られず。

世界各国は自国民の救出をするために救援機を出しますが、当時、法的根拠がない日本政府は素早い決定が出来ず、民間機も二の足を踏む始末。

パニックです。

そこへ。

1機のトルコ航空の飛行機が到着。

日本人216名全員を乗せて、成田に向かって飛び立ちました。
実にタイムリミットの、1時間15分前でした。

トルコ機は、トルコがイラン近隣に位置することから、陸路での脱出もできる自国民よりも日本人の救出を優先。
この救援機に乗れなかったトルコ人約500名は、陸路自動車でイランを脱出することとなってしまいました。


「なぜ?」「なんでトルコが?」の日本政府やマスコミ。


元駐日トルコ大使のネジアティ・ウトカン氏が語ります。

「エルトゥールル号の事故に際して、日本人がなしてくださった献身的な救助活動を、今もトルコの人たちは忘れていません。
私も小学生の頃、歴史教科書で学びました。トルコでは子どもたちでさえ、エルトゥールル号の事を知っています。今の日本人が知らないだけです。
それで、テヘランで困っている日本人を助けようと、トルコ航空機が飛んだのです。」

(串本町観光協会HP「日本人216名を救ったトルコ航空機」より引用)


この時のトルコ機機長は、オルハン・スオルジュ。

2011年3月27日、エルトゥールル号遭難事件の犠牲者慰霊碑を訪問。
献花を行っています。


【紀伊大島に残るエルトゥールル号遭難事件の足跡】


生存者が駆け込んだ樫野崎灯台の近くに点在。


海岸にたどり着いた生存者がよじ登った崖の上には。


沈没地点を望む位置に、慰霊碑が立ちます。

長年に渡り、地元の老人や旧樫野小学校(島内の小学校3校が統合されて、今は大島小学校)の生徒達の手で慰霊碑は通年、清掃されています。

また、節目の年には、トルコ本国からトルコ海軍の艦船が訪れ、駐日トルコ大使などを招いて慰霊祭が催されています。


慰霊碑近くには、串本町トルコ記念館。


館内には遭難したエルトゥールル号の模型や遺品、写真などが展示されています。
(※2015年6月にリニューアルしました。)


トルコのタイル模様。


《私見》

本人が忘れていても相手が覚えていてくれて、ありがとう、の気持ちを向けてくれること。

これはとてもありがたいことです。
しかし、その事を全く知らないってのは、却って失礼にもなるでしょう。

「今の日本人が知らないだけです。」と言われるとは、恥ずかしいなぁと思います。

別に恩着せがましくする必要はありませんが、
日本人が為してきたことに、良いこともたくさんあるのです。

誇りを持てよー、と言いたいです。

自虐的な歴史観を持つよりも他に学ぶべき事はあるのではないでしょうか。



本だけ読んでいてもわからないこと。
それは、何が起きたのかを現地で感じることだと思います。



遠い紀伊大島ではありますが、何かの機会に是非訪れていただきたい所です。

おしまい。


参考文献

『原点のまち串本 トルコ日本友好』・『南紀串本』(串本町役場製作・発行)

串本町トルコ記念館/展示説明・配布パンフレット

参考サイト

「エルトゥールル号遭難事件」wikipedia

「yahoo!ニュース」2015.9.25記事


いつも応援いただきありがとうございます。エルトゥールル号遭難事件の慰霊に訪れたトルコ関係者のニュースは、関西ローカルで流れます。あの物悲しい音楽隊の音色と共に、どうして串本町へトルコの偉い人が来るのかしら?と思ってました。トルコ記念館の方とゆっくりお話して、ようやく詳細を知った史実です。上映中の「遭難1890」、エルトゥールル号遭難事件とイラン・イラク戦争時のトルコ機による邦人救出を描いており、とても見ごたえがあります。おすすめです。
にほんブログ村 歴史ブログ 地方・郷土史へ


ぽちぽちぽっち、ありがとうございます。
スポンサーサイト



プロフィール

つねまる

Author:つねまる
史跡をちょろ見しながら、景色を楽しむゆっくり旅。地味。

古典芸能の能楽の、謡と仕舞のお稽古ぐだぐだ日記も。

◎画像の著作権は放棄しておりません。
◎画像と記事の無断使用厳禁!!
◎丸パクリには断固抗議する!!

◎リンク戴く際はご一報下さい。御礼させて戴きたく。
◎一言でもコメント戴ければすごーく嬉しいです。

尚、メールでのお返事は致しませんので、コメント欄をご利用ください。

宜しくお願いいたします。

参加してます♪
にほんブログ村 歴史ブログ 地方・郷土史へ
最新記事
カテゴリ
カレンダー
11 | 2015/12 | 01
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
月別アーカイブ
リンク
最新コメント
最新トラックバック
ブログ村さんに参加中
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR
ご来場御礼