日本のお正月とカトリック教会の四苦八苦。宣教師、悩む
こんにちは。

イエスの誕生日が、クリスマス(降誕祭)。

クリスマス(降誕祭)当日の前後にはそれぞれ「待降節」と「降誕節」があります。
1月6日の「顕現日(節)」までは降誕節なので、

クリスマスツリーは、1月6日が過ぎてから片付けても、おけー。
ということは。

元旦は降誕節のど真ん中なので、特に何をするでもなかったのですが。
カトリック教会では。
1931年。エフェソス公会議1500周年に際し。
教皇ピウス11世が、1月1日を「神の母」の祝日と制定。
これは、第2バチカン公会議(1962~1965年)で追認されます。
「エフェソス公会議」(431年)。
聖母マリアを「神の母」と称することの正当性を決議。
「聖母マリアはキリストの母と言えるが神の母とは言えない」と主張するネストリウス派が異端認定された公会議。
この決議から1500年後に、1月1日を「神の母」の祝日と制定されたのです。
気の遠くなるお話。せんごひゃくねん。

また、1月1日は12月25日の降誕祭から8日目。
ユダヤ教の律法では、生後8日目に男子に儀礼を施し(※自主規制)命名します。
よって、1月1日はイエスの誕生日から8日目を祝す日でもあるのです。
【日本におけるカトリック教会と元旦】
時は1580年代。日本にキリスト教が伝わり数十年。
ちょこちょこと困った事が出てくるお年頃。

日本のお正月の祝い方は、宣教師達からすると「迷信・偶像崇拝的」。
これを禁じると日本のカトリック信者達は堂々とお正月のお祝いが出来ません。
しかし、これでは布教に支障が。
そこで教会は、日本の行事や祝祭日を積極的に取り入れようとします。

また、当時の日本は陰暦。
太陽暦を用いる西洋の教会から一ヶ月半ほど遅れます。
すると、復活祭の46日前の水曜日(灰の水曜日)から復活祭の前日(聖土曜日)までの期間の「四旬節」が、お正月と重なってしまう年が出てきてしまいます。
四旬節とは、イエスが十字架上で死亡し復活するまでの期間。
この間は食事の節制と祝宴の自粛が行われます。
そんな時に、日本では「おめでとう」な、お正月が重なってしまうのです。
まー、たいへん。
他にも松飾りや、しめ縄、篝火、鏡餅などをどう解釈したらいいのか。

1580年。宣教師達はお正月のお祝い事について『裁決』を記し、基本方針を示します。
①日本のお正月をまず大事にしましょう。
まず信者達に基本方針を示し、安心させます。
②1月1日を「御守りのサンタ・マリアの祝日」にしまーす。
西洋のカトリック教会では祝日がてんこ盛り。
そこで日本では、キリストの祝日を中心とした祝日のみに限定し、すっきりさせていました。
「迷信や不道徳なことをさけて」という条件付きながら、1月1日を祝日とすることで、四旬節の重苦しい雰囲気を一転。
信者達も堂々とお正月のお祝いが出来るようになりました。
③ミサには、「聖母マリアの誕生」の典礼(9月8日)を採用。
聖母マリアからキリストが生まれて救いが始まる。
なので、お正月はマリア様の誕生を祝う日とすることが一番良いという結論を出しています。
④お正月の3が日は、キリスト教上の行事よりもお正月を優先。
暦が日本と西洋でずれているため、お正月の三日間が四旬節の主日になったり、水曜日・金曜日の断食の日にぶつかる事があります。
そこで改めて、お正月の3が日は断食の義務がないと決定しています。

この決定は、信者の日本人には嬉しいこと。
積極的にしめ縄や鏡餅の意味を皆で話し合って、キリスト教と関連付けていきます。
初詣だって出来ます。
数珠の代わりにロザリオを持って。
絵馬やお札だって奉納出来ます。
聖書の絵や言葉を書きます。
親戚やお友達のおうちにだって、新年のご挨拶にお出掛け出来ます。
数珠の代わりにロザリオを持って。

【『神の母聖マリア』の祝日と日本】
日本では、1990年から『元旦のミサ』は「『神の母聖マリア』を祝うミサ」へと変わりました。
これは、
1931年。エフェソス公会議1500周年に際し、教皇ピウス11世が制定し、第2バチカン公会議(1962~1965年)で追認された、「1月1日は『神の母聖マリア』の祝日」の件と絡みます。
カトリック国ではない日本に対しては、この1月1日の『神の母聖マリア』の祝日は免除されており、単に『元旦ミサ』と呼ばれていました。
しかし、1989年にローマ福音宣教省が、この特例措置をなくす手紙を日本の教会に送付。
この書簡の中で、1580年に宣教師達が日本のお正月のお祝い事についての言及があります。
「セルケイラ司教様が来日した1598年当時、日本で宣教していた司祭たちは相談し、1月1日(元日)に『御守りサンタマリア』という祭日を行うことにした。」
日本では数百年前から、1月1日にミサが行われていた事をローマ福音宣教省でも把握していた事がわかります。
こうして日本では、1990年から元旦には「『神の母聖マリア』を祝うミサ」が行われるのでした。
数年前、久々に教会へ行ったら、名前が変わっていてびっくりしたもので、ちょっと調べてみました。
うらしまたろこ、な気分で。
おしまい。
参考資料
「カトリック高田教会」
https://takadacatholic.wordpress.com/page/12/
「カトリック高松教会」
「神の母マリア祝日ミサ説教/2011年1月1日/於:桜町教会」
http://www.takamatsu.catholic.ne.jp/bishopemeritus/homily/20110101homily.html
「カトリック中央協議会」
「典礼解説・四旬節」
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/tenrei/sijunsetsu.htm
いつも応援いただきありがとうございます。あれれ?お正月のお話になってしまったー。まぁ、クリスマスのお話の流れってことで。えへへ。今年もいよいよあと少し。あたふたと大掃除してます。ベランダはお布団とかマット、まな板と枕とザルが並んでおります。おほほほ。さぁて、さぁて、さ・・・どうしよう、このごみ置き場みたいなお部屋。



ぽちぽちぽっち、ありがとうございます。

イエスの誕生日が、クリスマス(降誕祭)。

クリスマス(降誕祭)当日の前後にはそれぞれ「待降節」と「降誕節」があります。
1月6日の「顕現日(節)」までは降誕節なので、

クリスマスツリーは、1月6日が過ぎてから片付けても、おけー。
ということは。

元旦は降誕節のど真ん中なので、特に何をするでもなかったのですが。
カトリック教会では。
1931年。エフェソス公会議1500周年に際し。
教皇ピウス11世が、1月1日を「神の母」の祝日と制定。
これは、第2バチカン公会議(1962~1965年)で追認されます。
「エフェソス公会議」(431年)。
聖母マリアを「神の母」と称することの正当性を決議。
「聖母マリアはキリストの母と言えるが神の母とは言えない」と主張するネストリウス派が異端認定された公会議。
この決議から1500年後に、1月1日を「神の母」の祝日と制定されたのです。
気の遠くなるお話。せんごひゃくねん。

また、1月1日は12月25日の降誕祭から8日目。
ユダヤ教の律法では、生後8日目に男子に儀礼を施し(※自主規制)命名します。
よって、1月1日はイエスの誕生日から8日目を祝す日でもあるのです。
【日本におけるカトリック教会と元旦】
時は1580年代。日本にキリスト教が伝わり数十年。
ちょこちょこと困った事が出てくるお年頃。

日本のお正月の祝い方は、宣教師達からすると「迷信・偶像崇拝的」。
これを禁じると日本のカトリック信者達は堂々とお正月のお祝いが出来ません。
しかし、これでは布教に支障が。
そこで教会は、日本の行事や祝祭日を積極的に取り入れようとします。

また、当時の日本は陰暦。
太陽暦を用いる西洋の教会から一ヶ月半ほど遅れます。
すると、復活祭の46日前の水曜日(灰の水曜日)から復活祭の前日(聖土曜日)までの期間の「四旬節」が、お正月と重なってしまう年が出てきてしまいます。
四旬節とは、イエスが十字架上で死亡し復活するまでの期間。
この間は食事の節制と祝宴の自粛が行われます。
そんな時に、日本では「おめでとう」な、お正月が重なってしまうのです。
まー、たいへん。
他にも松飾りや、しめ縄、篝火、鏡餅などをどう解釈したらいいのか。

1580年。宣教師達はお正月のお祝い事について『裁決』を記し、基本方針を示します。
①日本のお正月をまず大事にしましょう。
まず信者達に基本方針を示し、安心させます。
②1月1日を「御守りのサンタ・マリアの祝日」にしまーす。
西洋のカトリック教会では祝日がてんこ盛り。
そこで日本では、キリストの祝日を中心とした祝日のみに限定し、すっきりさせていました。
「迷信や不道徳なことをさけて」という条件付きながら、1月1日を祝日とすることで、四旬節の重苦しい雰囲気を一転。
信者達も堂々とお正月のお祝いが出来るようになりました。
③ミサには、「聖母マリアの誕生」の典礼(9月8日)を採用。
聖母マリアからキリストが生まれて救いが始まる。
なので、お正月はマリア様の誕生を祝う日とすることが一番良いという結論を出しています。
④お正月の3が日は、キリスト教上の行事よりもお正月を優先。
暦が日本と西洋でずれているため、お正月の三日間が四旬節の主日になったり、水曜日・金曜日の断食の日にぶつかる事があります。
そこで改めて、お正月の3が日は断食の義務がないと決定しています。

この決定は、信者の日本人には嬉しいこと。
積極的にしめ縄や鏡餅の意味を皆で話し合って、キリスト教と関連付けていきます。
初詣だって出来ます。
数珠の代わりにロザリオを持って。
絵馬やお札だって奉納出来ます。
聖書の絵や言葉を書きます。
親戚やお友達のおうちにだって、新年のご挨拶にお出掛け出来ます。
数珠の代わりにロザリオを持って。

【『神の母聖マリア』の祝日と日本】
日本では、1990年から『元旦のミサ』は「『神の母聖マリア』を祝うミサ」へと変わりました。
これは、
1931年。エフェソス公会議1500周年に際し、教皇ピウス11世が制定し、第2バチカン公会議(1962~1965年)で追認された、「1月1日は『神の母聖マリア』の祝日」の件と絡みます。
カトリック国ではない日本に対しては、この1月1日の『神の母聖マリア』の祝日は免除されており、単に『元旦ミサ』と呼ばれていました。
しかし、1989年にローマ福音宣教省が、この特例措置をなくす手紙を日本の教会に送付。
この書簡の中で、1580年に宣教師達が日本のお正月のお祝い事についての言及があります。
「セルケイラ司教様が来日した1598年当時、日本で宣教していた司祭たちは相談し、1月1日(元日)に『御守りサンタマリア』という祭日を行うことにした。」
日本では数百年前から、1月1日にミサが行われていた事をローマ福音宣教省でも把握していた事がわかります。
こうして日本では、1990年から元旦には「『神の母聖マリア』を祝うミサ」が行われるのでした。
数年前、久々に教会へ行ったら、名前が変わっていてびっくりしたもので、ちょっと調べてみました。
うらしまたろこ、な気分で。
おしまい。
参考資料
「カトリック高田教会」
https://takadacatholic.wordpress.com/page/12/
「カトリック高松教会」
「神の母マリア祝日ミサ説教/2011年1月1日/於:桜町教会」
http://www.takamatsu.catholic.ne.jp/bishopemeritus/homily/20110101homily.html
「カトリック中央協議会」
「典礼解説・四旬節」
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/tenrei/sijunsetsu.htm
いつも応援いただきありがとうございます。あれれ?お正月のお話になってしまったー。まぁ、クリスマスのお話の流れってことで。えへへ。今年もいよいよあと少し。あたふたと大掃除してます。ベランダはお布団とかマット、まな板と枕とザルが並んでおります。おほほほ。さぁて、さぁて、さ・・・どうしよう、このごみ置き場みたいなお部屋。



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